守久 - Morihisa - 1-113
通常価格:¥2,750,000
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守久を名乗る刀工は複数名いますが、本刀は地鉄の鍛え等から、大和千手院派の守久と鑑せられる太刀です。 元より小太刀として鍛えられた一刀で、更に磨り上げられるも茎尻には守久の二字銘がしっかりと残っており、杢交じりの柾目鍛えの地鉄は粕立ち、匂口寄りにほんのりと乱れ映りが見られます。
匂口は鎌倉期の作品らしく沸が強く、直刃明るく冴え、所々小さく湾れ、刃中には金筋、稲妻が入り、刃縁には打除が連なって二重刃風を呈するなど大和物古作の見所多き作品です。
附属の太刀拵は、足金物部分を金属ではなく練り革で誂えた、古格漂う意匠。亀甲柄の太刀緒は両端こそ千切れが見られるものの、しっかりと残存しており、永き時代の経過を静かに物語っており、その格調高い造りから鑑みるに、古くは社寺仏閣に奉納されていた可能性が推測されます。
鐔鳴りは僅かにありますが、柄にがたつきはなく堅牢で、鞘を払って構えると手元重心の良好なバランスが手に伝わり、扱いやすさと品位を同時に感じさせます。
鎌倉期の太刀といえば、深い腰反りと長寸の姿を思い浮かべますが、それらは主に馬上での佩用を想定したもの。本作のような短寸の小太刀は、殿中や徒士用として鍛えられたと考えられ、反りも浅めで、姿形はむしろ室町初期頃の趣を帯びています。
このような時代の遡る小太刀は、現代刀剣界では長寸の馬上用太刀を基準とする傾向により、鑑定審査において保留とされる例が少なくありません。本刀もその例に漏れず、平成26年5月の審査にて保留の判定を受けるという憂き目に遭っております。しかし、目利きの方であれば、地刃の出来映えからその真贋は一目瞭然。確かな時代と技量を備えた作であることを即座にご理解いただけることでしょう。
古雅なる姿と堂々たる出来を誇る在銘太刀。内外共に古格を湛えた本刀を、ぜひこの機会にお手元のコレクションにお加えください。