あきくれといろもかはらぬ 将平作 - Masahira - 5-054
通常価格:¥143,000
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藤安将平刀匠は昭和二十一年福島県伊達郡生まれ。昭和41年長野県坂城町の刀匠、故人間国宝、宮入行平師に入門。
昭和50年福島県立子山に鍛刀場を開設して独立。以後作刀の研究修練を重ね日本美術刀剣保存協会優秀賞3回、奨励賞6回、努力賞7回を受賞。平成2年には日本美術刀剣保存協会会長賞受賞。同14年日本美術刀剣保存協会寒山賞を受賞。
尾張熱田神宮、奈良護国神社など多くの神社で奉納鍛錬を行い、平成20年には、704年、佐備大麻呂の作剣以来、およそ千三百年ぶりに常陸鹿島神宮において日本刀奉納鍛錬を行う。
昭和59年秋には伊勢神宮第61回式年遷宮、御神宝太刀謹作奉仕の大役も担い、 先の震災で大きな被害を受けた福島県南相馬の御刀神社復興支援にも大きく尽力され、御神宝となる直刀を謹作奉仕し、直近では福岡の宮地嶽古墳出土大直刀の復元鍛錬など、現代日本刀匠屈指の作刀技術を持っている。
平安、鎌倉時代の古刀剣再現への強い想いを持ち、長年研究修練に取り組み、国宝、重要文化財やそれに類する刀剣類、全国の砂鉄や鉄文化の知識見識も豊富で、太刀、刀、短刀、脇差、薙刀、古代直刀など、どれを手掛けても正確で美しい刀姿を創り上げる。
地鉄、焼刃の手際も鮮やかで幅広い製作能力を誇り、中心鑢や銘文といった中心仕立ても現代刀匠随一で、師である行平没後、師の実子である宮入小左衛門行平(宮入恵)を預かり、弟子として鍛刀修業を積ませた経緯からも、師の信任が厚く、その技量の高さを物語っている。
近年は奈良正倉院収蔵の直刀、手鉾のなど奈良時代の刀剣類の研究、薬研藤四郎、一期一振、鶴丸国永等の復元制作にも取り組んだ。
この小刀は清涼に鍛えられた地鉄に、匂口明るく冴えた湾れを焼き、刃縁砂流かかり、実用刃物としての領域を超え、確固たる美術品としての地位を誇る出来口を示す作品です。
刀身には『あきくれと いろもかわらぬ』と万葉仮名で切られており、これは藤原定国の四十の賀の屏風絵に付けられた作者不明(坂上是則の作とする古今和歌集の伝本もあるそうである。)の歌の一つで、全文は『秋くれど 色もかはらぬ ときは山 よそのもみぢを 風ぞかしける』です。
歌の内容は、秋が来ても常緑で色が変わらないとされている「ときは山」が色づいているのは、きっと他所の紅葉を風が貸しているのだろう、ということ。"風ぞかしける"とあるので絵の中では紅葉に染まっているのでしょう。
「常盤(ときは)」は元々、大きな岩が長く変わらない様子を言ったもので、24番の源宗于(むねゆき)の「ときはなる 松の緑も 春くれば」という歌でも常緑のイメージで使われています。賀歌として「ときは山」を長寿のシンボルとし、いくら「ときは山」でも秋なのに緑のままでは無粋なので、風が他所から紅葉の衣を借りて掛けているという趣向の歌でしょう。秋歌下にもこの歌と似た内容の次の紀淑望(よしもち)の歌があり、それと同じで、この歌の"ときは山"も現在の京都府右京区御室双岡町の雙ヶ岡(ならびがおか)辺りだとされています。