琴棋書画図大小鐔 (大)蓮斎壽一(花押) (小)蓮齋壽一作 -Signed Rensai Juichi- 12-1810
通常価格:¥2,310,000
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琴棋書画図大小鐔
(大)蓮斎壽一(花押) (小)蓮齋壽一作
-Signed Rensai Juichi-
(大)縦80.2ミリ 横74.1ミリ 切羽台厚5.15ミリ 重量187グラム
(小)縦74.1ミリ 横68.0ミリ 切羽台厚4.65ミリ 重量145.5グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 特別保存刀装具鑑定書、桐箱
蓮斎壽一は詳しい伝歴に未詳の点を残すものの、本作に示された四分一地の巧みな扱い、肉合彫と高彫を自在に使い分ける立体表現、金、銀、赤銅、素銅を画面の要所へ配する洗練された色彩感覚から、江戸後期の町彫金工として卓越した技量を備えた作者であったことがうかがわれます。大鐔には「蓮斎壽一」と花押、小鐔には「蓮齋壽一作」と銘を刻み、大小二枚を一つの構想のもとに完成させた本作は、作者の構成力と緻密な鏨技を余すところなく伝える代表作というべき在銘の揃物です。
琴棋書画は、琴を奏で、棋を打ち、書を読み、画を楽しむという文人の四つの教養を表し、俗世の名利を離れて学問と芸術に親しむ理想の境地を象徴する格調高い画題です。日本でも文雅と知性の象徴として絵画や工芸へ繰り返し取り上げられ、人物を直接描かず、琴、棋、書、画を想起させる器物だけでその世界を語る留守模様には、見る者が一つ一つの道具を読み解きながら情景を心に描く、奥ゆかしく知的な趣があります。
本品は大小とも量感のある竪丸形の四分一石目地を舞台とし、琴棋書画にちなむ書冊、文房具、巻物、調度、草花などを表裏へ振り分け、肉合彫、平象嵌、高彫、据紋、色絵を駆使して、紙、漆、金属、植物それぞれの質感まで鮮やかに描き分けています。大鐔では広い余白の中へ器物をゆったりと配して堂々たる格調を生み、小鐔では一つ一つの意匠を緊密に結び付けて凝縮された華やぎを表しながら、金銀の光、赤銅の黒、素銅の温かな色味を共通させることで、二枚を並べた際に一幅の絵を見るような見事な統一感を作り上げています。
大小それぞれの片櫃は赤銅で端正に埋められ、その赤銅地にも金象嵌で霞を描いており、単に櫃孔を塞ぐのではなく、深い黒の中へ金霞をたなびかせて作品全体の景色へ取り込むという、並の金工では成し得ない周到な美意識が示されています。四分一の穏やかな灰色、赤銅の深い黒、霞の金色が一つの画面で響き合い、片櫃そのものが独立した小景となることで、表裏の意匠にさらなる奥行きと静かな華やかさを添えています。
正面では余白を生かした絵画的な構成、斜光では高彫と据紋の量感、手元では微細な鏨線と色金の取り合わせが次々に現れ、大小、表裏を巡るほど琴棋書画の世界が豊かに広がります。総重量332.5グラムに及ぶ四分一地の贅沢な量感、大小双方の在銘、優れた色金表現、片櫃の赤銅埋金にまで意匠を行き届かせた完成度に加え、特別保存刀装具として認められた確かな格を備えており、江戸後期金工の文雅と技巧を代表する、まさに名品中の名品と呼ぶにふさわしい大小揃いです。