柴束透鐔 銘 武州住正親 -Bushū jū Masachika- 12-1719
通常価格:¥770,000
税込
柴束透鐔
銘 武州住正親
-Bushū jū Masachika-
縦75.6ミリ 横70.8ミリ 切羽台厚5.3ミリ 重さ128.5グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 桐箱・特別保存刀装具鑑定書
正親は木谷氏を称した武州伊藤派の鐔工で、十八世紀後半に江戸で活躍し、鉄地を巧みに彫り透かした作品を得意としました。その作は国内外の美術館にも収蔵されており、本作にも見られる緻密な透彫と節度ある金の扱いからは、伊藤派に連なる確かな技量と洗練された意匠感覚がうかがえます。
柴束は細い柴を集めて固く結わえたもので、一本一本は細くとも束ねることで強さを得ることから、結束や繁栄を連想させる意匠として親しまれてきました。本作では円環を描くように組み上げた柴束へ桜花を散らし、春の華やぎと武家好みの力強さを一つの画面に調和させています。
竪丸形の鉄地に肉彫地透を施し、幾重にも重なる柴の一本一本や結び縄、枝葉と桜花を立体的に彫り分け、複雑な図様の間に大小の透間を開くことで、重厚な鉄地へ軽やかな抜けと奥行きを与えています。表裏で柴束と桜花の配置を変化させながら一貫した構成にまとめており、角度を変えるたびに透彫の重なりと陰影が豊かに移ろいます。
両櫃孔には細やかな魚子地を備えた赤銅埋金を収め、桜の花弁や蕾へ金象嵌を散らすことで、黒褐色の鉄地の中に明るい光を添えています。さらに耳には麻の葉や沙綾形、七宝文などの幾何学文様を金象嵌で巡らせ、正面だけでなく側面まで鑑賞に耐える周到な仕立てとしています。
緻密に束ねられた柴の量感、可憐な桜花、透間が生む明快な陰影、随所に配された金の輝きが均衡よく響き合い、武州伊藤派らしい彫技と装飾性を余すところなく楽しめる優品であり、特別保存刀装具鑑定書を伴う正親の確かな作例として、鑑賞の中心に据えるに相応しい一枚です。