守久 -Morihisa- 1-118
通常価格:¥6,600,000
税込
守久
-Morihisa-
刃長63.5センチ 反り1.9センチ
元幅25.7ミリ 元重ね6.2ミリ
物打幅20.8ミリ 横手位置幅15.8ミリ
物打重ね4.8ミリ 松葉先重ね3.2ミリ
目釘穴1個
裸身重量482グラム 拵に納めて鞘を払った重量763グラム
鎌倉後期 The latter period of Kamakura era
昭和31年1月28日 福岡県登録
附属 特別保存刀剣鑑定書、保存刀装具鑑定書、特別貴重刀剣認定書、特別貴重小道具認定書、素銅地金着太刀はばき、白鞘、継木、茶石目塗鞘太刀拵、桐箱
守久を名乗る刀工は複数存在し、本刀については制作国を特定するには至っていないものの、鎌倉後期の「守久」在銘作として特別保存刀剣鑑定書が交付された貴重な一振です。元来より短寸に鍛えられた小太刀の類と考えられ、後世に磨上げを受けながらも茎尻には「守久」の二字銘がしっかりと残され、刃長63.5センチ、反り1.9センチという小振りな寸法の中に、踏ん張りある鎌倉古作らしい古雅な姿を留めています。長大で腰反りの深い馬上用太刀とは趣を異にし、殿中あるいは徒士用として佩用された小太刀を想起させる姿であり、短寸ながらも太刀としての品格を失っていません。
地鉄は柾目を主体に杢目を交えてよく錬れ、肌立ちごころとなり、地には淡く乱れ映りが立っています。刃文は直刃を基調として所々に小湾れを交え、沸がよく付き匂口は明るく冴え、刃中には金筋、稲妻が働き、刃縁には打除が連なって部分的に二重刃風を呈するなど、古作ならではの変化を随所に見せています。華やかな刃文で目を引く類ではなく、地鉄と刃中の細かな働きを見込むほどに味わいを増す作で、柾がかった鍛えと直刃調の焼刃、二重刃を思わせる働きなどには大和物を想起させる趣があり、従来より千手院系を考えさせる一刀として見てきた作品です。ただし現在の鑑定では制作国まで特定されていないため、これはあくまで地刃から受ける作風上の所感となります。
附属する茶石目塗鞘太刀拵も本刀の価値を大きく高める存在で、唐草文を施した鐔を中心に、総金具には花菱文、目貫には剣花角文を配し、大切羽には四方猪目透が施されています。足金物部分には金属製の山形金具ではなく練革を用いた古格ある構成が見られ、亀甲文様の太刀緒も両端に傷みを生じながら今日まで残存しています。白鮫を着せた柄、金色の金具類、落ち着いた茶石目塗鞘が調和し、華美に流れることなく品格を備えた外装に仕立てられており、永い時代を経た太刀拵ならではの風情をよく伝えています。鐔鳴りを僅かに認めるものの柄に目立ったがたつきはなく、拵に納めて鞘を払った重量は763グラムと軽快で、実際に手にすると短寸の刀身と相まって手元に収まりのよい均整の取れた姿を感じさせます。
本刀には昭和47年4月14日付の特別貴重刀剣認定書が伝来し、太刀拵にも旧来の特別貴重小道具認定書ならびに現在の保存刀装具鑑定書が附属しています。かつて平成26年5月の審査では保留となった経緯を持ちますが、このたび改めて審査を経て、鎌倉後期の「守久」在銘作として新たに特別保存刀剣鑑定書が交付されました。これは本刀を評価するうえで極めて重要な点であり、従来の旧認定だけでは判断の難しかった時代と銘について、現在の鑑定によって鎌倉後期まで遡る在銘古刀として評価されたことになります。
鎌倉時代まで遡る刀そのものが今日では貴重ですが、本刀は無銘の古刀ではなく「守久」の二字銘を残し、さらに特別保存刀剣として評価された在銘品であるところに大きな価値があります。制作国が特定されていない点は評価上考慮すべきものの、鎌倉後期という時代、在銘であること、地刃に古作としての見所を備えること、そして古い太刀拵まで一括して伝来していることを総合すれば、単純に著名工の序列だけで価値を測るべき作品ではありません。旧認定書から現在の特別保存刀剣鑑定書に至る鑑定履歴まで残されており、一口の太刀が歩んできた評価の変遷そのものを辿ることができる点も興味深いところです。
古雅な短寸の太刀姿、鎌倉古作らしい地刃、「守久」の在銘、そして時代を経た太刀拵を併せて今日まで伝えた内外揃いの一口であり、刀身だけを切り離して見るのではなく、長い年月を経て残された太刀として総体を鑑賞していただきたい作品です。新たに特別保存刀剣鑑定書が交付されたことによって、本刀が本来備えていた価値を改めて評価できる環境が整った今、鎌倉後期の在銘古刀を太刀拵とともに所蔵できる機会として、じっくりとお勧めしたい一刀です。