釣狐透鐔 干英子野村包教製 江州彦根住 -Kaneishi Nomura Kanetsune Gōshū Hikone Jū- 12-1588
通常価格:¥1,210,000
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釣狐透鐔
干英子野村包教製 江州彦根住
-Kaneishi Nomura Kanetsune Gōshū Hikone Jū-
縦72.3ミリ 横68.95ミリ 切羽台厚5.0ミリ 重量100.0グラム
江戸中期(享保頃) Mid Edo period (around the Kyōhō era)
附属 特別保存刀装具鑑定書、桐箱
野村包教(鑑定書では「包敦」と記載)は、三郎次あるいは三郎兵衛と称し、干英子と号した近江国彦根の刀装具師です。江戸に住したとも伝えられますが、現存する作品はいずれも「江州彦根住」の地名を銘文に添えています。作風は藻柄子一派と同趣で、同派の有力な分派として知られ、生没年は未詳ですが、「享保九甲辰鶯時」と年紀を刻した作品が確認されており、その頃を中心に活躍したことが窺えます。高肉彫と象嵌・色絵を巧みに駆使した精緻な人物表現を得意とし、野村家一門を代表する名工として高く評価されています。
狂言「釣狐」は、室町時代以来伝わる代表的な狂言の演目で、人々を化かしてきた老狐を猟師が罠で捕らえようとする物語です。狐は人間に化けて様子を窺いながら罠へ近づき、猟師との緊迫した駆け引きが見どころとなっています。
本作は、その情景を高肉彫透によって見事に表した優品です。表には二人の猟師が配され、一人は左手で棒を後手に持ち、もう一人は身を屈めて罠を仕掛けています。その左には、笠を被り肩に棒を担い、人に化けた狐が表され、狐の顔貌や髭まで精緻に彫り分けられています。上部には老松、柴垣、建物、蔓を配し、さらに霞がかった雲間から半ば姿を現す月を表すことで、夜の静寂と物語の緊張感を巧みに演出しています。
高肉彫による立体感に富んだ人物表現、細部まで行き届いた毛彫、金・銀・赤銅・素銅による象嵌と色絵はいずれも見応えがあり、保存状態も頗る良好です。物語性と卓越した彫技とが高い次元で融合した、包教の優れた作域を示す一作であり、特別保存刀装具鑑定書を備えた資料性・美術性ともに優れ、包教代表作の一つに数えられる名品中の名品といえるでしょう。