無銘 -Mumei- 4-376
通常価格:¥495,000
税込
無銘
-Mumei-
刃長23.5センチ 反り1.15(内反り)
元幅30.1ミリ 元重ね5.8ミリ
物打幅25.85ミリ
物打重ね5.1ミリ
目釘穴1個
裸身重量235グラム 拵に納めて鞘を払った重量363グラム
室町後期~江戸前期
昭和49年6月20日 福岡県登録
附属 素銅地宣徳(真鍮)着金鍍金雲文はばき 、茶石目雲文塗鞘短刀拵
本刀は、片切刃造で深い内反りを備え、内側に刃を設けた独特の造り込みを見せる所謂華鉈(はななた)です。地鉄は小板目肌がよく錬れて緻密に詰み、厚く地沸が付き、刃文は匂口明るく冴えた互の目乱れに互の目丁子を交え、刃中には砂流が顕著に働いています。鋩子は切先の丸みに沿って棟寄りまで品良く焼き下げられており、全体の作風から美濃系鍛冶による作品と考えられます。
片切刃面には三日月形の槌を用いて規則正しい文様が刻まれており、その意匠は古い槍に見られる百足樋を連想させます。実用品でありながら意匠性にも配慮した造り込みは、本作の大きな見所です。
附属する拵もまた見応えがあります。茶石目に雲文を施した塗鞘に加え、はばきにも雲文を表し、意匠の統一が図られています。柄には緑に染められた皮を着せていますが、一般的な鮫皮ではなく、六角形が並んでいる様子から、亀の甲羅の類を加工したものでしょうか。柄巻きは革で巻き締めて漆を施した堅牢な仕立てとなっています。目貫の龍は細部が摩耗していることから、長年にわたり実際に携帯・使用されてきたことが窺えます。
栗形には赤銅製返角を二つ用いる珍しい構成を採り、その表面には愛嬌ある蝸牛が彫り出されています。鐺には本来装飾金具が取り付けられていた痕跡も残されており、細部に至るまで趣向が凝らされた優品です。
華鉈は古くより山仕事や神事に用いられた特殊な刃物で、枝打ちや薪作りだけでなく、神前に供える榊や祭祀に用いる植物の採取にも使用されました。日本刀と同様の鍛刀技法で製作されたものも多く、室町時代から江戸時代にかけては著名な刀工が銘を切った作例も知られています。そのため、単なる実用品に留まらず、日本刀鍛冶の技術を色濃く伝える工芸品としても高く評価されています。
また、華鉈は携帯性に優れることから、山仕事や神事以外の用途にも用いられた可能性が考えられます。短刀拵に仕立てられた華鉈や、刀工が本格的に鍛えた作品が現存することから、実用品としてのみならず、携帯用の護身具としても一定の役割を担っていたことが推測されます。ただし、城内や茶室での護身用として携帯されたことを直接裏付ける史料は現在のところ確認されておらず、その用途については慎重に考える必要があります。
本作は、優れた鍛えと焼刃を備えた美濃系鍛冶による華鉈に、意匠豊かな短刀拵が附属した貴重な一振です。日本刀鍛冶の技術、実用性、そして日本人の生活文化が融合した資料性の高い作品であり、華鉈の魅力を存分に味わうことのできる優品と言えるでしょう。