藤原義定作之 -Fujiwara Yoshisada- 2-1870
通常価格:¥550,000
税込
刃長60.3センチ
反り1.05センチ
目釘穴1個
元幅30.1ミリ 元重ね6.8ミリ
物打幅24.5ミリ 松葉先重ね5.6ミ
物打重ね5.9ミリ 横手位置幅21.3ミリ 松葉先重ね5.6ミリ
裸身重量675グラム 拵に納めて鞘を払った重量1,026グラム
昭和前期 The latter period of Showa era
昭和27年8月23日 東京京都登録
附属 真鍮太刀はばき、陸軍九四式軍刀拵(鉄鞘・第二佩鐶欠)
昭和9年(1934)2月14日、皇室令第三號で大元帥陛下の新御佩刀と、勅令二十六號で陸軍の一般将校用新軍刀が制定され、西洋サーベル型式から日本の太刀を模した新たな外装へと転換され、九四式軍刀が誕生しました。
本作の作者である義定については、銘鑑にその名を見出すことは叶わず、詳細な経歴は未だ深い霧の中に包まれています。しかしながら、かつて京都の地において義定と銘を切り、連綿と作刀を続けてきた鍛冶の存在は確認されており、本作の造り込みや作風から鑑みるに、明治の後半から昭和の前期にかけて腕を振るった刀匠による一振であると推測されます。その名が世に広く知られていないからこそ、先入観なく刀そのものの真価を問うことができる、実力派の作品と言えましょう。
刀身は、刃長がやや短めであるのに対し、茎を長く仕立てた独特の体配をしており、手にした時のバランスの良さと実戦を想定した重心設計を感じさせます。元と先の幅差が開き、切先が延びた姿は鋭利で精悍な印象を与え、地鉄は小板目がよく錬れて詰み、美しく付いた地沸がまるで梨の皮のような潤いのある「梨地」状の肌合いを呈しています。刃文は匂口が明るく且つ深く、互ノ目乱れが鮮やかに浮かび上がり、刃縁には小沸がつくなど、見どころは尽きません。鋩子は直ぐに先が丸く返っており、著名工の作品にも引けを取らない、確かな鍛錬技術が注ぎ込まれた一振です。
本作には、当時の陸軍将校の正装とも言える九四式軍刀拵が附属しており、その歴史的な価値をさらに高めています。惜しくも第二佩鐶は失われておりますが、全体の保存状態は良好で、特に傷みやすい鐺の桜花葉の彫刻も摩耗が少なく、往時の華やかな姿を今に留めています。経年による鐔鳴りこそ見受けられますが、要となる柄のガタつきはなく、将校の命を預かる武具としての堅牢さは健在です。
京の地でひっそりと、しかし確かな技で鍛え上げられたこの刀は、知名度にとらわれず「真に良いもの」を愛する愛刀家の御許でこそ輝きを放つ、玄人好みの歴史的遺産です。