濃州関住兼道作 -Noshu ju Kanemichi- 2-1866
通常価格:¥550,000
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本刀の作者、小島時次郎は明治三十五年七月、刃物の町として名高い関市永住町に生を受けました。善定兼吉の系譜に連なる小島勝正に鍛刀を学び、後に渡辺兼永の下でその天稟を磨き上げ、独立後は幾多の門人を育て上げながら美濃伝の継承と発展に生涯を捧げた関鍛冶の重鎮です。大東亜戦争の最中には陸軍受命刀工として、国を守るための刀を数多鍛え、展覧会に於いては特選を受賞するなど、当時の関を代表する刀匠としてその実力は折り紙付きでありました。
その卓越した技と精神は、実子である兼時(小島寛二)、そして現代の美濃伝作刀保存協会会長として活躍し、新作名刀展での連続入選を果たす二代兼道(小島郁夫)へと脈々と受け継がれており、本作はまさに現在も続く偉大なる美濃伝の系譜、その源流に触れることのできる貴重な一振です。
刀身に目を落とせば、元と先の幅差がしっかりと開いた、豪壮かつ優美な体配がまず目を引きます。地鉄は杢目がよく錬れて詰みながらも、わずかに肌立ちごころを見せる味わい深い鉄色を呈しており、刃文は匂口明るく、下半には力強い鍬形のような丁字を、上半には箱刃の中をくり抜いたような独創的な刃を焼き上げ、刃中には盛んに足が入るなど、作者の非凡な力量と、鉄に向き合う高揚した精神が凝縮されています。鋩子は乱れ込んで先が丸く返り、覇気の中にも品格を感じさせる見事な仕上がりとなっております。
附属の拵も実に華やかで見逃せません。金鍍金が施された豪華絢爛な糸巻陣太刀拵は、かつての所有者がこの刀に注いだ並々ならぬ愛情と意気込みを無言のうちに物語っています。柄の堅牢さは保たれておりますが、経年により鐔鳴りが生じている点は、むしろ長い歳月を経てきた道具としての風情と捉えていただければ幸いです。
その煌びやかな佇まいは床の間飾りとして一際映えることは間違いなく、甲冑の傍らに添えれば威厳ある武家の空間を演出し、武者行列などの晴れの舞台においても周囲を圧倒する存在感を放つことでしょう。現代に息づく美濃伝の技と、往時の武人たちが求めた美意識が融合した、愛蔵の逸品として自信を持ってお薦めいたします。