瑞雲子善貞(花押) 昭和五十八年弥生 -Zuiunshi Yoshisada- 4-351
通常価格:¥176,000
税込
刃長25.8センチ 内反り0.25センチ
元幅25.9ミリ 元重ね6.0ミリ
物打幅22.9ミリ 物打重ね5.0ミリ
裸身重量176グラム
昭和58年(1983) The latter period of Showa era
昭和58年3月1日 高知県登録
附属 白鞘、銀はばき
本名、山村繁松。土佐国高知県の現代刀工で、明治33年(1900)生まれ。昭和17年、叔父にあたる山本善盛に入門し鍛刀の基礎を修め、翌昭和18年には島根県の名匠・川島忠善(無鑑査刀匠)の門を叩き、その技量をさらに磨きました。
戦時中は陸軍受命刀工として軍刀を鍛え、実用性を重視した堅牢な作を数多く残しています。戦後においては、土佐を代表する名工「左行秀」に迫る完成度の作品を手がけるほか、「土佐一文字」と銘を切った備前伝の作品を残しています。
その作風は、実用に耐える健全な地刃と、鑑賞に堪える美しさを兼ね備えており、まさに実用兼美を体現したものと評価されます。弟子には、左行秀写しで第一級の力量を誇る蒼龍子貞行を育てるなど、後進の育成にも大きな足跡を残しました。
国工院会員名誉宗匠を務め、元陸軍技術奨励会会長賞を受賞するなど、その経歴は輝かしく、昭和期を代表する土佐の名工の一人として高く評価されています。
本短刀は平造で姿端正。小板目の地鉄はよく錬れて緻密に詰み、地沸がついて緻密な地景が入り精美。刃文は匂口明るく冴えた直刃を焼き上げ、鋩子は直ぐに品良く丸く返るなど、全体として破綻のない完成度の高い出来です。
現在は古研ぎの状態にあるため、写真では地鉄の冴えや地沸の妙を十分にお伝えしきれない点が惜しまれますが、実見すればその質の高さは一目瞭然でしょう。粟田口をはじめとする鎌倉期京物を強く意識して鍛えられた作であり、その狙いは的確で、短刀としての完成度は相当に高いものがあります。
守り刀として携えるに相応しい品格と健全さを備えており、自信をもってお薦めできる一口です。化粧直しを施すことで、本短刀本来の地刃の冴えを存分に味わっていただけることでしょう。