美作源正光 明治三庚午年春日 - Mimasaka Minamoto Masamitsu - 2-1811
通常価格:¥839,999
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俗名・石川繁之丞。嘉永元年(1848)に生まれ、城慶子正明の下で鍛刀を学び、慶應四年に津山藩工として召し抱えられた、津山藩最後の藩工である。幕末から明治にかけて槌を振るい、後年は繁男と銘を改め、廃刀令後には北海道へ移住したと伝わる。
本刀は、元先の幅差頃好く開き、切先延びて反りやや深く、豪壮にして雅趣を備えた堂々たる姿を誇る。地鉄は小板目肌がよく練れて詰み、無地風に見えるほど精良。刃文は匂口明るく冴えた互ノ目を基調に、互ノ目丁字や丁字を交え、刃中には足が長く頻りに入り、葉や蛇の目風の刃も交じるなど、変化豊かで見応え十分。鋩子は乱れ込んで焼きたっぷりと一枚風になり、先丸く返る。津山藩刀工の気迫と洗練が見事に調和した出来映えである。
元先の幅差頃好く開いて切先延び、反りやや深めで豪壮且つ雅な姿を誇る。地鉄は小板目がよく錬れて詰み、無地風となり、互ノ目に互ノ目丁字や丁字を匂口明るく焼いて冴える。刃中には足が長く頻りに入り、葉入り、蛇の目風の刃が交じり、鋩子は乱れ込んで一枚風に焼きたっぷりと先丸く返る。
附属の拵は黒蝋塗の落ち着いた鞘に黒漆を施した鮫皮の柄を組み合わせ、上品さの中に武家らしい無骨さを漂わせる。金具には隅切角に三の字の家紋が配され、上士の指料であったことが窺える。
津山藩は明治四年まで存続しており、本刀の年紀は明治三年であることから、もしかすると本刀は津山藩工として正光が最後に鍛えた一振かもしれない。
藩工の卓越した技と武家の誇り、そして郷土の歴史が一振に凝縮された逸品。美術的価値と資料的価値を兼ね備え、後世に伝えたい幕末刀の佳作である。