無銘(千代鶴) - Mumei(Chiyozuru) - 2-1788
通常価格:¥770,000
税込
千代鶴は、来國安の流れを汲む千代鶴國安を祖とし、摂津国中島来の刀工が越前に移住して興した一派と伝わります。そのため「越前来」とも称され、南北朝時代・貞治頃より活躍し、室町初期の應永期にかけて栄華を極めました。歴史的背景と由緒の確かさから、今なお刀剣愛好家の心を強く惹きつける存在です。
本作は、元先の幅差が開いて中切先延びやかに、茎は新刀期になってからでしょう。打刀としての斬れ味を求めて伏せられています。小板目肌に杢目が交じり、流れてやや肌立ち、地沸よく付き、地景が入り、淡く映りごころを見せ、刃文は匂口明るい直刃を基調としつつ、物打から先にかけて足が盛んに入り、小乱れを成し、とりわけ指裏に於いては、刃中に葉や足が盛んに現れ、まるで光が揺らめくような華やかな景観を生み出しています。鋩子は直ぐに先丸く返り、古格と気品を兼ね備えた出来映えです。
由緒正しき来派の血脈を受け継ぎ、豊かな働きと古雅な趣を堪能できる一振で、歴史的価値と鑑賞的魅力を兼ね備えた佳品であり、菊水文様を刻した二重はばきからも伝来の良さを感じる、蒐集家に強くお薦めしたい一刀です。
※横手位置と松葉位置での身幅重ね計測し忘れました。現物は現在、日本美術刀剣保存協会に預けてございます。本刀が手元に戻り次第計測して掲載致します。