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相州住綱廣 -Soshu ju Tsunahiro- 4-380

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相州住綱廣
-Soshu ju Tsunahiro-

刃長29.2センチ 反り0.2センチ
元幅28.2ミリ 元重ね7.7ミリ
物打幅24.55ミリ 物打重ね6.7ミリ
裸身重量303グラム 拵に納めて鞘を払った重量469グラム
目釘穴1個
江戸後期 The latter Edo period
昭和43年10月19日 岡山県登録
附属 特別保存刀剣鑑定書、特別保存刀装具鑑定書、黒漆青貝微塵塗鞘短刀拵、素銅はばき、白鞘、継木


相州住綱廣は室町時代後期から江戸時代末期まで連綿と続いた相州鍛冶の名跡で、初代は山村姓、初銘を正廣と切り、その後小田原の北條氏綱に召し出されて「綱」の一字を賜り、綱廣と改銘したと伝えられています。綱廣の代別については判別の難しいものが少なくありませんが、藤代刀工辞典では初代を天文、二代を永禄、三代を文禄頃とし、山村家系図および古文書によれば天文七年(1538)から天文十年(1541)の間に初・二代の代替わりがあったとされています。三代綱廣は山村宗右衛門と称して鎌倉扇ケ谷に住し、後に津軽藩主の招きによって津軽へ赴き、大小三百振を鍛刀して慶長十一年(1606)に帰国したと伝わり、その作には「津軽主為信相州綱廣 慶長十乙巳八月吉日 三百腰之内」「津軽主為信相州綱廣呼下作之 慶長十乙巳八月吉日」などの銘文を残しています。こうして中世相州鍛冶の伝統を受け継いだ綱廣の名跡は代々継承され、江戸時代を通じて幕末まで栄えました。

本作はその長い系譜のうち新々刀期に鍛えられた綱廣の一口で、平造、庵棟、刃長29.2センチの寸延びの姿を呈し、元先の幅差は目立って開かず、元重ね7.7ミリを有する肉置きのしっかりとした体配となっています。地鉄は小板目に杢目を交えてよく錬れ、肌目が詰んで地沸が付き、刃文は匂口明るく、互ノ目に小湾れを交えて刃縁には細かな砂流しがかかり、鋩子は直ぐに入り先丸く返るなど、端正な姿の中に相州鍛冶の伝統を受け継ぐ綱廣らしい趣を見せています。華美に走ることなく地刃ともに破綻なくまとまり、寸延びながら十分な重ねと身幅を保った健全さも本作の大きな見どころです。

さらに本作の価値を大きく高めているのが、刀身とともに伝来した黒漆青貝微塵塗鞘短刀拵です。

後藤春乗は、江戸中期に生まれ、主として江戸後期に京都で活躍した後藤家の装剣金工で、初め百次郎と称し、家督相続後には代々の通称である七郎右衛門を襲名しました。元文5年(1740)に説乗の子として生まれ、文政5年(1822)7月12日に83歳で没しており、光品と同人で七郎右衛門家3代当主にあたります。家系は祐乗、顕乗、家祖殷乗、説乗、春乗、重乗、久乗へと続き、孫には後藤家を代表する名人の一人に数えられる一乗がいます。文化・文政年間には幕府の扶持を受け、京都役所支配役として大判・小判の製作にも従事しており、装剣金工としての優れた技量に加え、貨幣製作を担う高度な金工技術と公的な経歴を備えた人物です。

本拵では小柄と笄に「勘入斎後藤春乗」の銘が切られ、縁頭、鐔、栗形、返角には七宝文と武田菱を組み合わせた紋章意匠を統一して施し、目貫には武田菱を単独で表しています。この構成から、単なる吉祥文の組合せではなく、武田菱を主紋とする旧所有家のために誂えられた拵であった可能性が高く、甲斐武田氏またはその一族や庶流との関係を想起させますが、伝来を裏付ける資料を欠くため、特定の家名にまでは極めていません。
黒漆地へ青貝微塵を散らした鞘と七宝文、武田菱が響き合い、金具の地へ隙なく施された細かな文様と端正な紋の配置には、華美に傾かず品格を保つ後藤家の美意識が表れ、表裏を眺めるほど一作金具としての緻密な設計を味わえます。とりわけ短刀拵では伝来の過程で失われやすい小柄と笄がともに完備している点は極めて貴重で、日本美術刀剣保存協会において拵一式が特別保存刀装と鑑定されたことも、その時代性、保存状態、構成の完成度を裏付けています。僅かな鐔鳴りが認められるものの、柄にがたつきはなく、はばきと切羽の造り込みを仔細に見ると元来は着せが施されていたことが窺え、往時には現在以上に華やかな姿であったものと考えられます。
刀身、時代拵、白鞘、継木がまとまって今日まで伝存した本刀は、鑑賞できる、資料性と美術性を兼ね備えた優品です。
刃長(cm)29.2 (九寸六分三厘六毛)
反り(cm)0.2 (六厘六毛)
元幅28.2ミリ
元重7.7ミリ
先幅物打幅24.55ミリ
先重物打重ね6.7ミリ
目釘孔数1個
時代江戸後期 The latter period of Edo era
鑑定書特別保存刀剣鑑定書、特別保存刀装具鑑定書
登録昭和43年10月19日 岡山県登録
付属黒漆青貝微塵塗鞘短刀拵、素銅はばき、白鞘、継木
重量裸身重量303グラム 拵に納めて鞘を払った重量469グラム

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