桐に御簾図割笄 無銘 -Mumei- 16-261
通常価格:¥220,000
税込
桐に御簾図割笄
無銘
-Mumei-
全長20.41センチ 幅10.5ミリ 重さ28.6グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 桐箱
桐は鳳凰が宿る瑞木とされ、豊かな花房と大きく開く葉は繁栄と高貴を象徴する意匠として、紋章や工芸に広く用いられてきました。御簾は宮廷や上流の住まいを示す調度であり、植物文と取り合わせることで、簾の内外に広がる王朝的な空間を想像させる雅趣豊かな画題となります。
本作は深い黒味を呈する赤銅地を舞台に、桐の葉と花房、御簾やその縁を思わせる直線的な意匠を金色絵で密に表した割笄です。大きく反る葉、幾重にも重なる花房、細く伸びる枝を左右の片へ分けながら、2本を合わせると中央の境を越えて1つの華麗な文様が完成するよう構成され、植物の有機的な曲線と御簾の規則正しい線が鮮やかな対照を作っています。
桐の花や葉は輪郭を金で塗り分けるだけではなく、花弁の重なり、葉脈、花房を結ぶ細部に至るまで鏨を入れ、黒地を適度に残すことで金色の文様が過密にならないよう整えています。中央には結びや房を思わせる意匠が置かれ、長い画面の焦点を作るとともに上下の植物文を繋ぎ、耳掻側から棹へ向かう視線へ豊かなリズムを与えています。
裏面は赤銅地の深い黒味を広く残して簡潔に仕立てているため、表へ凝縮された金色絵の華やかさがいっそう際立ちます。2本を合わせたときの完成された構図、分けた際に現れる左右それぞれの細工、長い棹へ続く滑らかな輪郭まで見どころが途切れず、遠目には黒と金の格調高い配色が、手元では花葉と御簾の細線が鑑賞者を引き込みます。王朝文化を思わせる雅な画題と濃密な装飾性を備え、飾った際にも強い存在感を放つ、割笄の収集に華を添える美麗な一品です。