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雨龍図割笄 無銘 -Mumei- 16-257

通常価格:¥275,000 税込
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雨龍図割笄
無銘
-Mumei-

全長18.28センチ 幅9.6ミリ 重さ20.3グラム
江戸後期 The latter Edo period
附属 桐箱


雨龍は水と雲を司る霊獣であり、恵みの雨、豊穣、守護を象徴する吉祥意匠として刀装具にも好んで採り上げられました。なかでも細長く身をくねらせる姿は笄の画面とよく調和し、本作では龍を単独で大きく見せるのではなく、雲文、紗綾形文、七宝文を取り合わせることで、天空を巡る気配と吉祥の意味を一つの画面へ重ねています。卍を崩して連続させる紗綾形文は不断長久、円が連なって広がる七宝文は円満と繁栄を象徴し、雨龍の霊威を幾何学的な文様が華やかに引き立てています。

黒味の深い鉄地へ、雨龍、雲文、紗綾形文、七宝文を金、銀、素銅の象嵌で鮮明に表し、文様ごとに異なる色金を使い分けることで、細長い二条の画面へ豊かな明暗と奥行きを生み出しています。雨龍は耳掻側から長い胴をしなやかに伸ばし、脚先や尾の曲線まで簡潔な線の中へ収められており、黒い鉄地から金象嵌の輪郭が浮かぶ姿は、古雅な趣を保ちながら驚くほど明快です。斜めに走る文様帯は二本を揃えた際に途切れることなく連続し、割笄の合わせ目を構図の一部として利用した巧みな設計にも見応えがあります。

画面は斜めの区画によって文様を切り替えながらも、龍と雲の曲線が左右の割れ目を越えて連続するため、2本を合わせると1枚の細長い装飾画が完成します。文様の密な部分と素地を広く残した部分との対照も巧みで、耳掻側の華やかさから棹の落ち着いた地肌へ視線が自然に流れ、分けて眺めれば精確に仕立てられた合わせと各片の文様構成を個別に味わえます。

裏面は装飾を置かない黒味の鉄地で簡潔に仕立て、表面に凝縮された金銀素銅象嵌と細密な地文をいっそう引き立てています。光の角度によって金象嵌の雨龍が鋭く現れ、銀象嵌と素銅象嵌の文様は落ち着いた輝きの中から静かに浮かぶため、正面からの華やかさだけでなく、手元で傾けながら各種象嵌の明暗を追う楽しみも豊かです。龍という力強い画題、吉祥文を組み合わせる意匠感覚、複数の色金を丁寧に嵌め込んだ手数、割笄ならではの構造美が凝縮されており、龍図や象嵌金工、吉祥文の刀装具を収集される方にもおすすめしたい、鑑賞するほど新たな細部が見つかる一作です。
寸法全長18.28センチ 幅9.6ミリ
時代江戸後期 The latter Edo period
鑑定書―
付属桐箱
重量重さ20.3グラム

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