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大石内蔵助忠節文割笄 若狭守源正貞 -Signed: Wakasa no Kami Minamoto Masasada- 16-255

通常価格:¥176,000 税込
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大石内蔵助忠節文割笄
若狭守源正貞
-Signed: Wakasa no Kami Minamoto Masasada-

全長19.75センチ 幅10.5ミリ 重さ37.8グラム
江戸中期~後期 The middle to latter Edo period
附属 桐箱


若狭守源正貞と銘する本作は、華麗な色金や動植物の高彫に頼らず、鉄地の端正な造形と刻字のみで強い精神性を表した割笄です。若狭守源正貞については、現在確認できる資料から活動地、師系、活動年代を確定するには至りませんが、二本の笄を合わせた際の幅と厚みを揃え、表裏へ異なる内容の文字を割り付けながら、細長い地へ一字ずつ均衡よく刻み込んだ仕事には、鉄を扱う確かな技量と書意を金工へ移す構成力がうかがわれます。

表に刻されているのは「萬山不重君恩重 一髪不軽我命軽」の二句で、すべての山よりも主君の恩義は重く、一本の髪であっても軽くはないが、その恩義の前では自らの命を軽しとする、という忠節の覚悟を表しています。大石内蔵助良雄が自作の鐔へ刻したと伝えられることで名高く、赤穂義士を象徴する文言として知られており、単なる漢詩の引用ではなく、武士が重んじた恩義、忠誠、自己犠牲の精神を凝縮した、刀装具に極めて相応しい題材です。

刻文は二本の地へ分けて配され、右片に「萬山不重君恩重」、左片に「一髪不軽我命軽」を置くことで、左右を合わせたときに対をなす句が一つの画面へ揃い、割笄という構造そのものが文章の対句表現と響き合います。字は深さと太さに変化を持たせながら一画ずつ力強く刻まれ、鉄地の落ち着いた灰色と刻線の陰影だけで内容を際立たせているため、正面からは古雅な書の趣、斜めからは鏨が鉄へ食い込んだ立体的な仕事を味わえます。

頭部には左右それぞれ長方形の透かしを設け、その上下へ線と抑揚のある段を配して画面の始まりを引き締め、刻文を置いた部分と先端へ向かって細く伸びる棹との境にも帯状の区切りを加えることで、装飾を抑えながら全体へ明快なリズムを与えています。二本を揃えれば中央の合わせ目が一本の軸線となって端正な姿を作り、分けて眺めれば各片の文字、透かし、棹の稜線、先端の鋭いまとまりを個別に確かめられるため、一つの姿と二つの造形を行き来できる割笄ならではの鑑賞性に富んでいます。

裏には左右へ分けて「若狭守」「源正貞」と銘を切り、表の忠節文と呼応するように作者名を簡潔に示しています。表裏とも地を広く残し、文様や色彩で余白を埋めない構成は、鉄の質感、長い直線、刻字の力を主役とするための意図的なものであり、使い込まれた鉄地に現れた穏やかな明暗も、制作当初の厳格な姿へ時代の深みを添えています。

大石内蔵助の忠節を伝える文言、二本を合わせて初めて対句が整う巧みな構成、作者銘を備えた鉄地の割笄という内容は資料性と物語性の双方に恵まれ、赤穂義士や忠臣蔵に関わる意匠、武家の精神を表した刀装具、書と金工が一体となった作品を収集される方にとって、とりわけ見逃しがたい魅力があります。華美な装飾とは異なる凛とした存在感を放ち、桐箱から取り出して文字を一字ずつ読み進めるほど、その意味と造形が静かに重なってくる、長く手元で愛玩したい格調ある一作です。
寸法全長19.75センチ 幅10.5ミリ
時代江戸中期~後期 The middle to latter Edo period
鑑定書―
付属桐箱
重量重さ37.8グラム

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