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山文字紋と軍配紋笄 無銘 -Mumei- 16-251

通常価格:¥154,000 税込
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山文字紋と軍配紋笄
無銘
-Mumei-

全長21.34センチ 幅12.9ミリ 重さ40.6グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱


本品は無銘ながら、素銅地の胴へ細かな魚子を直接打ち、その黒味を帯びた画面へ山文字紋と軍配紋を金色で高く表した、地金と色調の対照が美しい笄です。約21センチの定寸に近い伸びやかな姿を保ち、温かな赤味を呈する素銅と黒い魚子地、黄金色の紋を響き合わせた構成には、武家の格式と装剣金具としての華やかさがよく調和しています。

山文字紋は「山」の字を円内へ図案化した安定感のある意匠で、別掲250の素銅笄に刻された山文字紋と同じ紋であり、同じ家から伝来した両品の結び付きを端的に示しています。軍配紋は武将が指揮や裁定に用いた軍配団扇を象ることから、統率、決断、勝運を想起させ、上方へ伸びる山文字紋と斜めに構えた軍配紋を広い余白を挟んで配置することで、家の象徴と武の精神を一つの画面へ重ねています。武家や名家では表紋のほか、裏紋や替紋を場面や用途に応じて使い分ける例があり、どの紋がそれぞれに当たるかは特定できないものの、両品が山文字紋を共有しながら丸に十字紋と軍配紋を別々に組み合わせる点は、一家に伝えられた複数の紋の関係を考えるうえでも興味深いところです。

胴には細かな魚子を打ち、金色の紋をふっくらとした量感で明瞭に表し、耳側には蕨手の金象嵌を配し、眉形や木瓜部には金象嵌による縁取りを添えることで、装飾面を一幅の画面として引き締めています。魚子の一部と蕨手の金象嵌には、長い年月の装用を物語る潰れが見られるものの、円形の山文字紋と斜めに配した軍配紋は明快に残り、魚子地、金色絵、素銅地という三つの質感を使い分けた本来の趣向を十分に味わえます。単純な家紋は輪郭のわずかな歪みや中心のずれが目立つため、複雑な人物彫とは異なる精度が求められますが、二つの紋を限られた幅へ過不足なく収めた構成には、武家の注文に応えた金工の確かな設計感覚が表れています。

裏面は文様を置かず、素銅地の穏やかな色艶と笄本来の伸びやかな姿を鑑賞できる簡潔な仕立てとし、表の華やかな紋章面との対照を際立たせています。正面では金の配色が遠目にも映え、手元では残された魚子の粒立ち、紋の量感、境界を巡る細い金色の線へと見どころが移り、長く実用された時代金具ならではの風合いと家紋笄としての資料性を併せて楽しめます。

本品は、別掲の「丸に十字と山文字紋笄」と同じ家からまとまって伝来した一品であり、両者は装飾技法や仕立てを異にしながら、ともに素銅地へ山文字紋を表しています。同作の揃物と断定するものではありませんが、一家に伝えられた家紋笄として所用の背景を想像させ、単独では魚子地と金色絵の格調を、2点を並べれば鏨線を主体とした簡潔な作と魚子・金色絵を用いた装飾的な作との違いまで比較できる、伝来の物語と鑑賞性を兼ね備えた一品です。
寸法全長21.34センチ 幅12.9ミリ
時代江戸中期 The middle Edo period
鑑定書―
付属桐箱
重量重さ40.6グラム

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