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三河万歳図笄 無銘 -Mumei- 16-247

通常価格:¥132,000 税込
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三河万歳図笄
無銘
-Mumei-

全長21.9センチ 幅11.65ミリ 重さ29.7グラム
江戸中期 The middle period of Edo era
附属 桐箱


三河万歳は、正月に大夫と才蔵が家々を巡り、祝言を述べて歌い舞う三河国伝来の門付芸であり、長寿、繁栄、五穀豊穣を寿ぐ晴れやかな芸能として広く親しまれました。大夫が烏帽子を戴いて扇を手に舞い、才蔵が鼓を打って調子を取る姿は、新春の賑わいと招福の願いを端的に表す画題として絵画や工芸にも採り上げられ、本品では扇を肩の高さに掲げて身をかがめる大夫の一瞬へ主題を絞ることにより、細長い笄の画面へ舞の躍動と祝意を凝縮しています。

山銅地とみられる笄の胴には深い黒色を呈する赤銅魚子地を嵌め、均整の取れた細かな粒立ちを静かな舞台として、万歳の大夫を高彫色絵でふっくらと表しています。褐色の装束が赤銅地から柔らかく立ち上がり、顔と掲げた手には銀色の明るさを添え、襟元、袖口、烏帽子、扇へ豊かな金色絵を施すことで、人物の動きと晴れの装いが黒、褐色、銀、金の鮮やかな対照の中へ浮かび上がり、ことに大きく開いた扇の一筋ごとを丁寧に刻した仕事は、わずかな面積の中にも舞台上の華やぎを感じさせます。

人物は片手で扇を掲げ、袖や襟元の重なりを肉厚に彫り分けた造形と相俟って、次の拍子へ移ろうとする舞の流れまで想像させます。人物を胴の中央へ静止させず一方へ寄せ、広く残した魚子地を舞台の余白として生かした構成も巧みで、正面では色金の華やかさ、斜めからは高彫の量感と衣の重なりが際立ち、角度を変えながら眺めるほど彫金と色彩の変化を楽しめます。

笄全体は細身ながら伸びやかな姿を保ち、山銅地の棹から先端へ続く滑らかな稜線と穏やかな褐色の古色が、華やかな赤銅魚子地の胴を落ち着いて引き立てています。裏面は文様を置かない簡潔な仕立てとすることで表の人物表現へ鑑賞の焦点を集め、耳掻部近くに配した渦状の意匠が胴の始まりを端正に整えており、魚子の粒立ち、人物の顔貌、装束の起伏、扇の細線、色絵はいずれもよく保たれています。

無銘ながら、赤銅魚子地を隙なく整える基礎技術に加え、人物の表情と所作を小さな画面へ的確に収め、金、銀、赤銅系の色調を過不足なく使い分けた仕事には確かな見応えがあり、正月の寿ぎを伝える三河万歳という吉祥性の高い画題も大きな魅力です。拵へ合わせて楽しむことはもちろん、人物金工や風俗図、祝儀の意匠を収集される方にもおすすめしたい、江戸中期の洒脱な感覚と華やかな色絵を存分に味わえる笄です。
寸法全長21.9センチ 幅11.65ミリ
時代江戸中期 The middle period of Edo era
鑑定書―
付属桐箱
重量重さ29.7グラム

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