飛雁山水図鐔 山城国伏見住金家銘 -Signed Yamashiro no kuni Fushimi ju Kaneie- 12-1856
通常価格:¥44,000
税込
飛雁山水図鐔
山城国伏見住金家銘
-Signed Yamashiro no kuni Fushimi ju Kaneie-
縦77.3ミリ 横76.5ミリ 切羽台厚4.45ミリ
重さ147.0グラム
江戸中期~後期 The middle to latter Edo period
金家は鉄地そのものの起伏を山や雲の広がりに生かし、少量の金銀象嵌を添えて奥行きある景色を表す絵風鐔で知られ、本品もその作風を慕って表裏に山水を描いた一枚で、表の左上には三羽の雁を斜めに飛ばし、その嘴に置いた小さな金象嵌が黒い鉄地の中でさりげなく光ります。
鐔面全体に付けた凹凸が山肌や空の揺らぎを思わせ、右下の山中には小さな家屋を配し、その屋根と山あいの一部に打った金象嵌が遠景の細部を浮かび上がらせ、両櫃穴は赤銅で埋めて景色の中に落ち着いた色の変化を添えています。
裏面には山の稜線に半ば隠れた太陽を金象嵌で表し、左下に葦と思われる草を細く描いて金銀の象嵌を散らし、表の飛雁と山家に呼応して、鐔を返すたびに夕暮れの山里が眼前に広がるような趣があります。
切羽台の左右には「山城国伏見住金家」と銘が切られているものの、桃山期の金家の確実な作例と比べると地の厚みや彫りの景色に隔たりがあり、銘振りも写真だけでは基準作との一致を確認できないため、現状では金家の正真作と断定せず江戸中期から後期頃の金家風鐔として鑑賞するのが穏当ですが、雁の嘴や家屋、山あい、太陽、草に散らした金銀が鉄地の暗さを引き立て、147グラムの量感と起伏に富む肌を手元で傾けながら味わえる、山水趣味の豊かな一枚です。