花菖蒲図鐔 江府住正義 -Kofu ju Masayoshi- 12-1851
通常価格:¥132,000
税込
花菖蒲図鐔
江府住正義
-Kofu ju Masayoshi-
縦70.85ミリ 横67.3ミリ 切羽台厚5.1ミリ
重さ115.5グラム
江戸中期 The middle period of Edo era
正義は江戸で活動した金工です。
花菖蒲は初夏に花を開く日本の伝統園芸植物で、江戸時代に栽培と品種改良が進み、やがて花菖蒲園が名所となるほど人々に親しまれました。
本品では落ち着いた鉄地に花菖蒲の花と細長い葉を伸びやかに配し、花弁の付け根へ置いた金の輝きで初夏の瑞々しさを引き出しています。花弁の基部に黄色い目を持つ花菖蒲と、そこに白い筋を見せる燕子花との違いに照らしても、金を添えた本図は花菖蒲として鑑賞するのが相応しく、その色彩が花の姿と構図の妙をいっそう明瞭にしています。
表面では右上に開く花と下方へ流れる葉を一続きの景色にまとめ、葉脈や茎の細い彫りに沿って目を移すと、花弁や葉のところどころに施された金布目象嵌が鉄の渋い色合いから浮かび上がり、華美に傾かない差し色が花菖蒲の清々しい姿を際立たせています。
一枚の葉を細長く透かした意匠は画面に軽やかな抜けをつくり、鉄地に彫り表した葉との対照によって、風を受けて葉が重なり合うような奥行きを生むとともに、笄櫃穴を赤銅で丁寧に埋めた黒みのある面は花の傍らへ自然に収まり、透かしと埋金を巧みに生かして一株の姿を整えています。
裏面にも葉と花の景色を続け、鐔を返すと表で見た花菖蒲の別の表情に出会える趣があり、鉄地の静かな肌合い、赤銅の埋金、点々と輝く金布目象嵌の取り合わせは、手元で傾けるほど細部の仕事を見つける楽しみを与え、銘を備えた花卉図の鐔として佩刀に合わせても鑑賞に供しても味わい深い一枚です。