松に鷹図鐔 古川清利(花押) -Furukawa Kiyotoshi (kao)- 12-1847
通常価格:¥264,000
税込
松に鷹図鐔
古川清利(花押)
-Furukawa Kiyotoshi (kao)-
縦68.2ミリ 横62.3ミリ 切羽台厚4.7ミリ
重さ107.8グラム
江戸後期・幕末 The latter period of Edo era
古川清利は幕末に活動した金工で、切羽台脇にその銘と花押を刻む本品は、赤銅無垢の地金が持つ深い黒色を広い余白として生かし、細やかな彫りと控えめな色金によって松に鷹の姿を浮かび上がらせた、端正さと迫力を兼ね備える鐔です。
画題の松に鷹は、常緑の松に長寿や不変を、獲物を見定める鷹に武威と鋭い眼力を重ねた武家好みの組み合わせで、老松に止まりながら片足を上げた鷹を鐔の片側へ寄せた構図にはゆったりとした余白が生まれ、画面の外へ向ける眼差しと今にも動き出しそうな姿勢が、静かな景色の中へ張り詰めた気配をもたらします。
鷹の重なる羽毛を一本ずつ彫り分け、眼と足に置いた金色が黒い赤銅地から鮮やかに立ち上がる一方、松の幹には素銅と金を配して古木の節や起伏にさりげない色の変化を与え、鋭い爪、引き締まった嘴、針のように伸びる松葉を順にたどれば、限られた鐔面に自然の息遣いが細部まで行き渡っていることに気づかされます。
裏面では松の枝と岩場の景色が静かに続き、表の鷹を見てから鐔を返すと同じ場所を別の角度から眺めるような楽しみがあり、黒い地金の落ち着きの中に細い線とわずかな色金を効かせた表裏の取り合わせが、過度な装飾に頼らない品格を醸し出します。
小柄櫃穴の内側には地金と同じ赤銅の板が嵌め込まれており、同素材故に殆ど目立たない作業でありながら、櫃穴の内まで丁寧に整えた細かな仕事に、仕立ての行き届いた様子がうかがえます。
手に取れば赤銅無垢ならではのしっとりとした質感と107.8グラムの充実した重みが伝わり、眺める角度や光の当たり方によって鷹の羽と松葉の彫りが表情を変えるため、佩刀に取り合わせる楽しみに加え、銘と花押、鷹の眼、松の幹、裏の景色へと視線を巡らせながら繰り返し鑑賞したい、幕末金工の趣に富む一枚です。