孔雀図透鐔 無銘 -Mumei- 12-1841
通常価格:¥88,000
税込
孔雀図透鐔
無銘
-Mumei-
縦73.6ミリ 横70.1ミリ 切羽台厚4.2ミリ
重さ84.0グラム
江戸前期~中期 From the early to middle period of Edo era
孔雀は美しい尾羽を広げる姿から吉祥を招く瑞鳥として親しまれ、毒蛇を食らうという伝承から邪気を退ける孔雀明王にも結び付けられた、華麗さと守護の意味を併せ持つ画題であり、本品はその姿を丸い鉄の画面いっぱいに表して、色金に頼らず透かしと彫線のみで孔雀ならではの風格を描き出しています。
上方には尾羽の先を放射状に立て、一枚ごとに眼状文を彫り入れて孔雀の華やかな羽を印象付け、左右へ広がる羽には幾重もの筋を刻む一方、下方には首を曲げて嘴を下げた頭部と細い脚を配し、鳥の全身を一続きの鉄で耳へ繋いだ構成には、図柄を大きく見せながら鐔としての強さを保つ工夫がうかがえます。胴の中央に切羽台を取り込んだ姿も不自然さがなく、表裏を返して眺めると、平面では紋章のように明快だった尾羽や脚が、斜めからは厚みと奥行きを持って現れます。
縦73.6ミリ、横70.1ミリの丸い輪郭の内に、尾羽の眼状文から左右の羽筋、うつむく頭部までを収め、透かしの余白によって孔雀の輪郭を軽やかに浮かび上がらせながら、鉄地の落ち着いた黒褐色と素朴な彫り味が華やかな主題を引き締めています。近寄れば羽根の細部を追う楽しみがあり、離れれば大きく広げた尾羽が一目で伝わるため、手元の鑑賞はもちろん、拵へ合わせた際にも主題が埋もれない一枚です。
無銘のため制作時期や流派を断定することはできませんが、鉄一色の落ち着いた仕上がりと力強い地透、細部を整え過ぎない彫り口には古様があり、江戸前期から中期頃の作と見るのがふさわしく、孔雀という吉祥の画題を端正な造形へまとめた本品は、佩刀に華やかな趣を添えるにも、飾って表裏を見込むにも楽しみの深い鐔です。