流水千鳥図鐔 無銘 -Mumei- 12-1817
通常価格:¥165,000
税込
流水千鳥図鐔
無銘
-Mumei-
縦64.55ミリ 横59.0ミリ 切羽台厚3.95ミリ
重さ70.3グラム
江戸前期~中期 The early to middle Edo period
附属 桐箱
千鳥は多くの仲間と群れて水辺を渡ることから「千取り」に通じ、勝運や目標成就、家内安全を願う吉祥文様として親しまれてきました。流水と組み合わせた意匠は古典和歌にも通じる雅趣を備え、本品では丸くふっくらとした愛らしい千鳥を表裏へ散らし、古い鉄地の落ち着きの中に明るく親しみやすい景色を作り上げています。
表の下方には緩やかに流れる小川と石、岸辺の草を彫り、その上空へ五羽の千鳥を軽快に配しています。赤銅で表した千鳥には金の脚を添え、金色の千鳥では左右の脚を金と銀に色分けするという、見落としてしまいそうな細部にまで遊び心を凝らした仕立て。どの千鳥も簡潔な輪郭の中に丸みある身体と小さな嘴を表し、一羽ごとに向きや姿勢を変えることで、群れが水辺から舞い上がる一瞬を生き生きと捉えています。
裏面の左上には赤銅の千鳥を一羽、そのすぐ下には金色の千鳥を二羽配し、こちらの脚は銀で表しています。左下へ続く流水と草の葉が表の小川を受け継ぐため、裏面を単なる余白とせず、鐔を返したときにも一続きの水景が現れます。黒みを帯びた鉄、深い赤銅、明るい金銀の対照が鮮やかでありながら、長い年月を経た色調が全体を穏やかにまとめています。
茎穴と櫃孔には古い拵への装着を物語る責金が残り、素朴で味わい深い鉄地と柔らかな木瓜形の輪郭には、江戸前期から中期にかけての趣がうかがわれます。脇指に合わせやすい引き締まった寸法の中へ、表五羽、裏三羽の千鳥と水辺の景色を凝縮し、遠目には端正に、手元では左右で金銀を違えた脚など細やかな趣向を楽しめる、愛玩性に富んだ一枚です。