五三桐紋散縁頭 無銘 -Mumei- 14-296
通常価格:¥198,000
税込
五三桐紋散縁頭
無銘
-Mumei-
縁 縦37.65ミリ 幅9.6ミリ
頭 縦33.6ミリ
重さ25.1グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
桐紋は、鳳凰が棲むと伝えられる桐を意匠化した由緒ある文様で、皇室や公家に用いられたのち武家社会にも広まり、豊臣家をはじめとする有力武将の権威を象徴する紋として重んじられました。中央に三花、その左右に五花を配する五三桐は、端正な左右対称の姿と格調の高さを併せ持ち、刀装具においても祝いと格式を示す画題として好まれています。
本品は深い黒色を呈する赤銅魚子地に五三桐紋を高彫し、縁と頭の全面へ散らした一組です。頭には向きと間隔を変えた桐紋をゆったりと配し、中央に余白を残すことで一つ一つの紋を明瞭に見せる一方、縁では細長い画面に沿って紋を連続させ、正面から側面へ途切れなく巡る構成としています。端正な紋章を規則正しく並べるだけではなく、わずかに間隔と向きを変えて散らすことで、静かな画面に心地よい動きが生まれています。
地には魚子を細かく打ち詰め、縁の上下には引き締まった耳を巡らせることで、黒一色の中にも質感と高低差を明確に表しています。桐紋は葉先、葉脈、花茎、先端の蕾まで丁寧に彫り分けられ、丸みを帯びた葉の起伏と細く立ち上がる花茎が魚子地の上へくっきりと浮かび上がります。金銀の色絵を用いず、赤銅の深い黒味と彫りの陰影だけで見せる仕立てだからこそ、素材の品格と鏨仕事の確かさが素直に伝わります。
曲面を覆う粒の揃った魚子、桐紋の肉取り、縁の端まで崩れず続く文様構成は、手元で眺めるほど静かな見応えを増し、拵へ用いれば柄前へ過度に華美にならない格調を与えます。五三桐という由緒ある紋章、赤銅魚子地の落ち着いた黒、紋散らしの端正な配置が一体となった本品は、武家らしい品位を重んじる拵にもよく調和し、飽きることなく長く愛蔵できる魅力を備えた縁頭です。