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網代地鎧袖鞭図小柄 無銘 -Mumei- 16-222

通常価格:¥110,000 税込
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網代地鎧袖鞭図小柄
無銘
-Mumei-

全長97.5ミリ 幅14.55ミリ 重さ26.3グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱


網代は、竹や檜皮などを斜めに組んで生まれる規則正しい編目を文様化したもので、細かな線が連続する端正な美しさを備えています。本作ではこの網代文を単なる背景として添えるのではなく、小柄の表面全体へ隙間なく彫り広げ、その上へ武具の袖と鞭を配しています。武者そのものを描かず、身に着ける品や手に取る道具によって主の姿と物語を想像させる、いわゆる留守模様にも通じる奥ゆかしい趣向です。

表の鉄地を覆う網代文は、斜めの細線を一筋ずつ整然と重ね、編み込まれた素材の起伏まで感じさせるほど丹念に表現されています。規則的な文様が小柄の長い画面を引き締める一方、その中央には鎧の袖を肉高く据え、札の重なりや威毛を思わせる細部まで細やかに彫り分けています。袖に添えられた緒や、鞭の手貫緒には金色絵を施し、渋い鉄味の中へ華やかな光を点在させることで、武具の格調と装飾性を鮮やかに引き出しています。

画面を横切る鞭は、小柄の細長い形を生かして左右へ伸び、中央の袖と交差することで、静かな器物図の中へ鋭い方向性と緊張感をもたらしています。袖を中心に緒が翻り、鞭が一直線に走る構成には、まさに武者が今しがた武具を置いたかのような気配が宿り、人物を描かないからこそ、その身分や物語、これから始まる場面まで自由に想像させます。緻密な網代の反復、量感ある高彫、金色絵の輝きがそれぞれ異なるリズムを生みながら、一つの画面へ過不足なくまとめられています。

光を受ける角度によって網代の細線が穏やかに浮かび上がり、その上に据えられた袖の高低と金色の紐が立体的な表情を見せます。近くでは膨大な鏨仕事と武具の細部を、離れては端正な地文と大胆な器物配置を楽しむことができ、見る距離によって印象が変わる点も本作の魅力です。裏面には素銅地の裏板を合わせて簡潔な磨地に仕立て、温かみのある銅色によって表の渋い鉄地と精緻な意匠を一層引き立てています。武具を題材とした小柄の中でも、勇壮さを前面へ押し出すのではなく、静けさの中へ武者の気配を凝縮した洒脱な一口です。

小さな画面を埋め尽くす網代彫の手数、袖の重厚な存在感、鞭の伸びやかな線、要所に配された金色絵が見事に調和しています。武具図を好まれる方はもちろん、細密な地文彫や、人物を描かずに物語を語る留守模様の趣向を愛好される方にもおすすめしたい、手元で眺めるほど新たな見どころが現れる鑑賞性豊かな小柄です。
寸法全長97.5ミリ 幅14.55ミリ
時代江戸中期 The middle Edo period
鑑定書―
付属桐箱
重量重さ26.3グラム

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