平家西国落図小柄 無銘 -Mumei- 16-220
通常価格:¥99,000
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平家西国落図小柄
無銘
-Mumei-
全長96.5ミリ 幅14.15ミリ 重さ19.1グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
平家西国落は、『平家物語』に語られる平家一門の都落ちを題材とする画題です。栄華を極めた一門が幼い安徳天皇を奉じ、女性や女官、家財を伴って海路西国へ向かう場面には、王朝文化の雅やかさと盛者必衰の哀感が重なります。華やかな装束の内に旅立ちの緊張を秘めた情景は、物語性に富む古典画題として絵画や刀装具に好んで表されてきました。
本品は素銅地の細長い画面を一艘の舟で大きく横切り、船首から烏帽子姿の公家と思われる男性、華やかな衣をまとった女性、旅の荷物、幼い童、その後方で舟を操る女官を順に配しています。この並びによって、幼帝と女性たちを伴い都を離れる平家一門の物語が小さな画面の中に鮮やかに立ち上がり、見る者の視線を船首から船尾へと自然に導きます。
舟と人物は高低差のある彫りによって立体的に表し、装束、舟縁、荷物の細部へ金、銀、赤銅などの色金を巧みに取り合わせています。幾重にも走る水の線は舟の進む方向と流れを伝え、画面左方へ遠ざかる岸辺が、住み慣れた都を後にする一行の旅情を深めています。黒々とした地を背景に金銀の人物と舟が浮かび上がり、角度を変えるたび衣文や表情、舟中の細部が新たに姿を見せます。
裏面は素銅磨地を簡潔に仕立て、表面に凝縮された多彩で立体的な物語を一層引き立てています。舟、人々、荷物、岸辺、水流をわずかな画面へ過不足なく収めた構成は、まさに『平家物語』の絵巻を手のひらへ凝縮したかのようであり、王朝の華やぎと都落ちの哀感を同時に味わえる、古典物語を愛好する方にぜひお薦めしたい魅力豊かな小柄です。