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蜘蛛百足図縁頭 高瀬栄壽(印) -Takase Eiju- 14-293

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蜘蛛百足図縁頭
高瀬栄壽(印)
-Takase Eiju-

縁 縦37.7ミリ 横14.7ミリ
頭 縦38.7ミリ 横42.4ミリ
重さ42.4グラム
江戸後期 The latter period of Edo era
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱


高瀬栄壽は江戸時代後期に活躍した装剣金工で、常陸国水戸の出身、通称を伊左衛門、号を風柳軒といい、赤城軒元孚に学んだのち江戸に出て一家をなした良工です。若山泡沫著の『金工事典』には、晩年に御家人の株を買い求めたこと、また遺された年紀入りの作品から少なくとも六十四歳以上の長寿であったことが記されています。
栄壽の技量は当時から高く評価され、多彩な色金と精緻な彫技を駆使した作品を遺しており、東京国立博物館にも「高瀬 栄寿(印)」銘の波に龍図縁頭や「風柳軒蔵」の金象嵌印を伴う水龍図縁頭が収蔵されています。現在も国内外で評価される水戸系金工の一人であり、刀剣博物館の企画展にも栄壽の孔雀図鐔が江戸時代後期の作品として出品されています。

蜘蛛と百足は、刀装具の画題としてもひときわ異彩を放つ存在です。本作では二つの生き物を単に並べるのではなく、古木の上に巣を張る蜘蛛と、その木肌を力強く進む百足として描き分け、縁と頭を合わせることで、ひそやかな生命が息づく一つの小宇宙を作り上げています。草花や故事人物とは趣を異にする、強い印象と独創性を備えた画題です。

本作は四分一地の全面へ幾重もの線を鋤下彫し、年輪やうねる木理を思わせる古木の肌を表しています。穏やかな灰褐色を呈する地金に、深浅を巧みに変えた木目が端から端まで流れ、光の角度によって木肌の起伏が静かに浮かび上がります。この背景自体が充実した鑑賞対象となっており、その上へ据紋、象嵌、色絵を重ねることで、写実と装飾を高い次元で結び付けています。

頭金具では、銀で細い蜘蛛の糸を古木の表面へ緻密に張り巡らせ、その中心に量感豊かな蜘蛛を据えています。放射状に広がる巣は一本一本の線を整然と組み上げながらも硬さを感じさせず、自然に張られた糸の緊張まで伝えるようです。蜘蛛は丸みを帯びた胴に細かな鏨を施し、脚の節や構えまで立体的に作り込み、静止した姿の中へ獲物を待つ気配を宿しています。

縁金具では、赤みを帯びた色金の百足が木目に沿って大きく身をくねらせています。連なる胴節を一節ずつ肉高く彫り分け、左右へ伸びる数多くの脚には鮮やかな金色を利かせることで、渋い四分一地から百足の姿を鮮烈に浮かび上がらせています。長く伸びた触角から尾端へ至るまで途切れることのない造形は見応えがあり、縁の限られた高さを最大限に生かした横長の構図によって、今にも古木の上を這い進むような躍動感を生み出しています。

頭の蜘蛛は静、縁の百足は動として互いを引き立て、銀色の蜘蛛の巣、赤褐色の胴、金色の脚が四分一地の落ち着いた木目に映える、色彩の取り合わせも秀逸です。
手元で見れば木理、蜘蛛の巣、胴節や脚先に至る繊細な鏨仕事を堪能でき、少し離れて眺めれば二つの生き物が古木の上で呼応する大胆な意匠が際立ちます。高瀬栄壽の卓越した観察眼、構成力、多彩な色金の扱いを一組の中で存分に味わえる、画題の希少性と彫金技術を兼ね備えた魅力豊かな優品です。
寸法縁 縦37.7ミリ 横14.7ミリ 頭 縦38.7ミリ 横42.4ミリ
時代江戸後期 The latter period of Edo era
鑑定書保存刀装具鑑定書
付属桐箱
重量重さ42.4グラム

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