富士に松図小柄 無銘 -Mumei- 16-214
通常価格:¥55,000
税込
富士に松図小柄
無銘
-Mumei-
全長97.3ミリ 幅15.3ミリ 重さ21.3グラム
江戸中期~後期 The middle to late Edo period
附属 桐箱
富士は不二に通じる唯一無二の霊峰として、松は常緑の姿から長寿と不変を象徴する吉祥の樹として尊ばれてきました。富士と松を組み合わせた図は、壮大な山容と身近な樹木を一つの景色へ取り合わせ、泰平、長寿、揺るぎない繁栄を願う格調高い名所意匠です。
本品は温かな褐色を呈する素銅地を広い空と大地に見立て、右側へ裾野をゆったりと広げる富士、左側へ三本の松を配しています。富士の山肌は強く彫り込みすぎず、なだらかな線と穏やかな起伏で遠景らしく表し、松は幹と葉を簡潔に立ち上げて、近景と遠景の距離を小さな画面の中に作り出しています。
富士の頂には銀色絵で雪を表し、歳月を経て落ち着いた色調へ変化した銀色が、素銅地の温かな古色の中へ静かな光を添えています。装飾を詰め込まず余白を大きく生かしているため、地金の古色、柔らかな山稜、地平へ連なる細線がよく見え、眺める距離によって印象が変わります。日本を象徴する富士と松の祝意を穏やかな景色へまとめた、素朴さの中に品格を備える山水図小柄です。