倶利伽羅龍図小柄(小刀付) 無銘 -Mumei- 16-207
通常価格:¥132,000
税込
倶利伽羅龍図小柄(小刀付)
無銘
-Mumei-
小刀を含めた全長183.0ミリ 小柄部分の全長97.5ミリ 幅14.0ミリ 重さ30.6グラム(小刀含)
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
倶利伽羅龍は、不動明王の利剣へ龍が巻き付く密教由来の意匠であり、煩悩や災厄を焼き尽くし、迷いを断ち切る力強い守護の象徴として武家に篤く尊ばれてきました。真っ直ぐに立つ剣と、その周囲をうねりながら昇る龍を一体に構成するため、細長い小柄の画面ととりわけ相性がよく、威厳、躍動感、尚武の精神を同時に表す格調高い画題です。
本品は落ち着いた灰銀色の筒へ、漆黒の赤銅魚子地を額のように設け、その中央へ三鈷柄付剣と倶利伽羅龍を量感豊かな高彫据紋で表しています。龍は頭部を大きく起こし、鋭い角、長く伸びる鬚、力強く剣を捉える爪、幾重にも折り重なる胴、細かな鱗を丁寧に彫り分け、長い身体を剣へ絡ませながら画面の上下へ巡らせることで、限られた幅の中に天へ昇るような力強い流れを生み出しています。
龍と剣には広く金色を施し、漆黒の魚子地との鮮やかな対照によって、暗い地の中から一条の光が立ち上がるように図柄を浮かび上がらせています。剣の柄と鍔、龍の牙や爪、鱗、尾先まで造形を途切れさせず、手元では鏨を重ねた精緻な細部、離れては龍と利剣が一体となる堂々たる輪郭を楽しめ、江戸後期の装飾過多へ傾く以前の量感ある据紋と、金色を力強く用いた作域から、制作年代は江戸中期と鑑せられます。小刀を差し込む筒口には、拵へ装着して長く用いられたことを物語る当たりが見られますが、穂先を備えた全体姿には確かなまとまりがあり、守護の意味、古色を帯びた金工装飾、実用されてきた来歴を一度に味わえる、存在感豊かな倶利伽羅龍図小柄です。