鹿角透鐔 無銘(正阿弥) -Mumei (Shoami)- 12-1811
通常価格:¥154,000
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鹿角透鐔
無銘(正阿弥)
-Mumei (Shoami)-
縦65.0ミリ 横58.3ミリ 切羽台厚4.2ミリ 重量58.8グラム
江戸前期~中期 The early to middle Edo period
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
正阿弥は室町時代後期頃から作例が認められ、京都を中心に発展したと伝えられる一方、その成立や初期の系譜には未詳の点を残す刀装金工の大きな系統です。江戸時代には京都のほか、会津、阿波、庄内、秋田など各地へ広がり、鉄地の鍛えを生かした地透鐔から、彫刻や象嵌を加えた装飾性豊かな作品まで、地域と時代に応じて多彩な作風を展開しました。
鹿は神の使いとして尊ばれ、長寿や吉祥を象徴する動物であり、毎年生え替わりながら枝を増す角は再生と発展を想起させます。本品は鹿角の分岐する姿を左右へ伸びやかに配し、中央の切羽台を挟んで向き合う角そのものを鐔の輪郭と地透へ転化することで、写実と抽象が響き合う独創的な造形を作り上げています。
肉彫地透によって残された鉄は太細を変えながら滑らかにつながり、丸耳の柔らかな線と片櫃孔を含む余白が軽快なリズムを生み、黒褐色に育った地鉄が古鐔らしい静かな味わいを深めています。特に正面右側では、切羽台と鹿角の間をあえて透かし切らず、一箇所だけ地をつないで残しており、左右を均等に開くことなく画面へ確かな重心を与えています。この意図的な地残しによって鹿角の付け根に力強さが生まれ、軽快な透かしの中へ鉄の量感と緊張感が加わり、均整一辺倒ではない古雅で趣深い造形を作り上げています。
小振りながら輪郭は明快で、正面では意匠と余白の妙を、斜めからは鉄の厚みと肉取りを味わえるため、正阿弥の素朴な力強さと洗練を一枚で楽しめる、親しみ深く収集性の高い作品です。