九曜金輪紋散大小鐔 無銘 -Mumei- 12-1809
通常価格:¥1,100,000
税込
九曜金輪紋散大小鐔
無銘
-Mumei-
(大)縦77.2ミリ 横70.8ミリ 切羽台厚4.3ミリ 重量148.2グラム
(小)縦77.3ミリ 横66.9ミリ 切羽台厚4.1ミリ 重量119.5グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
九曜金輪紋は、九つの輪を輪違い状に組み合わせて一つの円環へまとめた家紋で、秩序正しく巡る九曜と、途切れることなく連なる金輪の姿を重ねた格調高い意匠です。互いの輪が結び付きながら一つの形を成すことから、守護、結束、永続を想起させ、簡潔な円の反復だけで華やかさと端正な品格を表せるため、武家の装具にもよく映える文様として尊ばれてきました。
本品は大小とも量感のある赤銅無垢地を用い、表裏から耳に至るまで微細な魚子を丁寧に打ち詰め、広く滑らかな切羽台を残した端正な画面へ、金と赤銅の九曜金輪紋を据紋として各三個ずつ配しています。深い黒色へ育った赤銅地の上で金の紋が鮮やかに輝き、同じ赤銅による紋は光の加減によって地から静かに浮かび上がり、華やかな金と奥ゆかしい黒が交互に現れることで、色数を抑えながらも豊かな抑揚と格調を生み出しています。
魚子は広い地板のみならず耳まで粒の大きさと間隔を揃えて打たれ、透かした輪を幾重にも組み合わせた九曜金輪紋も一つの据紋として精確に切り出されており、粒立ちの整った静かな地景と、円環が交差する立体的な紋章美とが見事に調和しています。裏面にはあえて紋を置かず、緻密な魚子と赤銅本来の深い色艶を存分に見せることで、表の華やぎを一層印象深くし、表裏を返すたびに装飾美と地金美という異なる魅力を味わわせます。
深みのある赤銅の色合い、手打ちによる精緻な魚子、広い切羽台を生かした抑制の利いた紋散らし、据紋の端正な仕立てから、制作年代は江戸後期まで下げるより江戸中期と鑑るのが相応しく、大小二枚が共通の意匠と優れた仕事を保ったまま一組で伝わることも大きな価値となっています。総重量267.7グラムに及ぶ赤銅地の量感へ金の据紋を惜しみなく配し、地金の質、魚子の技量、揃物としての稀少性を兼ね備えた本作は、手元では細部の冴えを、展示では大小揃いならではの堂々たる存在感を楽しめる、収集の中心に相応しい上質な一対です。