杢目鍛肌鐔 無銘(算経) -Mumei (Sankei)- 12-1807
通常価格:¥253,000
税込
杢目鍛肌鐔
無銘(算経)
-Mumei (Sankei)-
縦80.25ミリ 横79.8ミリ 切羽台厚4.4ミリ 重量170.0グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 日本刀装具研究会鑑定書、桐箱
算経は紀伊の金工で、成竜軒栄寿門と伝えられ、淡水子と号した江戸後期の鐔工です。詳しい伝歴には未詳の点を残すものの、鉄地へ板目や杢目を思わせる鍛肌を鮮やかに表した作が知られ、彫刻や象嵌による画題だけに頼らず、よく鍛えた地鉄の層と色調そのものを鑑賞へ昇華させています。鍛錬によって生まれる肌目を一枚の景色として見せる仕事には、鉄への深い理解と、素材が本来備える美しさを引き出す独自の感性が表れています。
板目が木板のように比較的長く流れる肌を指すのに対し、杢目は樹木の瘤杢を思わせる輪状や渦状の肌を指し、本品では幾重もの鍛えの層が茎孔を囲みながら大きな輪を描き、ところどころで緩やかにうねり、折り重なるため、「板目鍛肌」より「杢目鍛肌」と呼ぶのが相応しい姿を見せています。
本品はほぼ真円に近い大振りの鉄地を広々と用い、表裏の地一面へ杢目状の鍛肌を鮮やかに現し、黒褐色の地の中を太細さまざまな鉄の層が連なる雄大な景色を作り上げています。正面からは落ち着いた古鉄の面として端然と見えながら、斜めの光を受けると沈んでいた肌目が次々と浮かび、輪の重なりが場所ごとに濃淡と速度を変えてゆくため、眺める角度によって異なる表情を楽しめます。
耳には銀の薄板による覆輪を巡らせ、重厚な黒褐色の地鉄を清冽な銀色の輪郭で引き締めています。肌目の柔らかな動きと、銀覆輪が描く端正な円とが対照をなし、大振りで量感ある姿に凛とした品位を添え、遠目では簡潔で堂々とした円形の美、手元では尽きることのない鍛肌の流れと銀の光を味わわせます。算経の特色を率直に示す鍛肌、鉄地の充実、銀覆輪の格調を兼ね備え、装飾を排して地鉄そのものを鑑賞の中心に据えた、鉄鐔愛好家の収集に確かな核となる魅力豊かな一枚です。