諸紋透鐔 無銘 -Mumei- 12-1800
通常価格:¥77,000
税込
諸紋透鐔
無銘
-Mumei-
縦72.2ミリ 横70.0ミリ 切羽台厚6.65ミリ 重量95.0グラム
江戸前期~中期 The early to middle Edo period
附属 桐箱
諸紋透は、由来や願意の異なる家紋、植物文、鳥文を一つの画面へ取り合わせ、それぞれの形を読み解く楽しさと、異なる輪郭が響き合う図案の妙を味わわせる意匠であり、本品では茗荷、蕨手、二つ星、雁金という性格の異なる文様を大胆な透かしへまとめています。茗荷は「冥加」に通じて神仏の加護を願う紋として尊ばれ、蕨の若芽を思わせる蕨手は芽吹く生命の勢いを、星は天上の光と守護を、雁金は季節の風雅と吉祥を伝え、武家の標章にふさわしい力強さと、古来の文様が備える祝意を一枚の中に重ねています。
本品は厚手の丸形鉄地を大胆に彫り抜き、上方には二つの茗荷を向かい合わせ、右側には蕨の芽がほどける姿を思わせる蕨手、左側には二つの星、下方には二つの雁金を配し、切羽台を中心として四方へ諸紋が広がる均整の取れた構成を作り上げています。対称性を備えた上下の茗荷と雁金に、右の蕨手が描く伸びやかな曲線と左の直線的な星形を対置することで、静かな安定感の中へ快い動きを生み、太く残した地と広い透かしを巧みに響き合わせながら、すべての文様を切羽台と耳へ確実に連結した造形には、古透鐔らしい骨太な力強さと優れた図案感覚が表れています。
表裏を返せば諸紋の左右が反転し、蕨手の柔らかな曲線と二つ星の鋭い輪郭が入れ替わることで、同じ意匠でありながら異なるリズムと表情を楽しめ、光にかざした際には茗荷、星、雁金の姿が影絵のように明瞭に浮かび上がります。黒褐色に落ち着いた古鉄、穏やかな丸耳、量感ある鉄骨、簡潔にして大胆な透かしが調和し、江戸前期~中期の古様を伝える本品は、武家文様の格調と素朴な親しみ、図柄を一つずつ探す鑑賞の喜びを兼ね備え、古透鐔を代表する多彩な意匠美を一枚で味わえる魅力豊かな作品です。