菊花透鐔 無銘 -Mumei- 12-1792
通常価格:¥66,000
税込
菊花透鐔
無銘
-Mumei-
縦76.1ミリ 横71.9ミリ 切羽台厚6.95ミリ 重量172.0グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 桐箱
菊は厳しい霜にも耐えて咲く姿から高潔と長寿を象徴し、邪気を払い延命を願う吉祥の花として宮廷文化から武家の調度まで広く尊ばれ、刀装具では花弁の整然とした重なりが円形の鐔とよく調和するため、古くから格調ある主題として繰り返し取り上げられてきました。鐔そのものを大輪の菊へ見立てる造形は、花の優雅さと鉄の強さを一つに結び、装剣の中心へ晴れやかな品格を添えます。
本品は厚手で量感ある鉄地を用い、上方に粒立つ花芯を置き、そこから幾重もの花弁を左右へ大きく垂らして、鐔全体を今まさに開き切った一輪の菊として構成した作品で、一本ごとに丸みを持たせた花弁が深い谷を作り、正面では堂々たる花姿、斜めからは彫刻作品のような陰影と立体感を見せています。
下方には重なる葉と大小の透かしを配し、上部の密度ある花弁に対して軽快な余白を設けることで、重厚な地鉄でありながら画面に伸びやかな呼吸を与え、表裏で葉の重なりを入れ替えた構成も鑑賞の楽しみを深めています。黒褐色の落ち着いた鉄色、花弁を巡る滑らかな起伏、手に取った際の確かな重量感が一体となり、菊花文の華やぎと鉄鐔らしい力強さを存分に味わえるため、飾っても拵へ合わせても印象に残る存在感豊かな一枚です。