茶の湯図透鐔 無銘(武州) -Mumei (Bushu)- 12-1791
通常価格:¥66,000
税込
茶の湯図透鐔
無銘(武州)
-Mumei (Bushu)-
縦74.9ミリ 横68.5ミリ 切羽台厚4.7ミリ 重量75.0グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
武州鐔とは、武蔵国、とりわけ江戸を活動の中心とした鐔工によって制作された鉄鐔に対して用いられる呼称で、江戸には伊藤派をはじめ多くの鐔工が活動し、鉄地を巧みに扱った透鐔が数多く制作されました。ただし「武州」は必ずしも単一の流派を意味するものではなく、鑑定において「武州」「武州伊藤派」などと区別して極められる例があります。
本作は鉄地を木瓜形に仕立て、茶の湯の情景を肉彫地透によって展開した、趣向に富んだ作品です。
茶室を思わせる柱や壁、格子窓を背景として、茶釜、柄杓、茶碗をはじめとするさまざまな茶道具を配し、さらに花と花入まで細やかに彫り表しています。単に器物を文様として散らすのではなく、建物と道具を組み合わせることで一つの茶席を構成しており、小さな鐔の中に茶の湯の世界を凝縮したところが本作最大の見どころです。
細い柄や縄、窓の格子などを破綻なく鉄で切り残した透彫にも技量が窺え、鉄味も良く、落ち着いた古色とともに江戸金工らしい洒脱な趣を見せています。
地鉄の色調と肌合いから、過去に火を受けた可能性がありますが、茶室の構造と細い茶道具を一続きの鉄骨で描き切った造形の魅力は失われておらず、明るい背景へ透かしをかざせば、茶席の静かな情景が影絵のように鮮やかに浮かび上がります。
武州物とみられる実直な鉄の扱いに加え、通常の文様透とは趣を異にする複雑な茶席の構成、細部まで作り込まれた肉彫地透を備えており、茶の湯を嗜む方にはもとより、物語性ある透鐔を求める方にもおすすめしたい、鑑賞性と趣味性の高い一枚です。