菊花楓図鐔 山城國西陣住埋忠重光 -Yamashiro no Kuni Nishijin ju Umetada Shigemitsu- 12-1786
通常価格:¥275,000
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菊花楓図鐔
山城國西陣住埋忠重光
-Yamashiro no Kuni Nishijin ju Umetada Shigemitsu-
縦82.0ミリ 横75.2ミリ 切羽台厚3.9ミリ 重量142.0グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
埋忠は桃山時代から江戸時代初期にかけて、京都を中心に活躍した刀工・装剣金工の一派です。なかでも京都西陣に住した埋忠明寿は、新刀鍛冶の祖とも称され、作刀、刀身彫刻、鐔の製作に優れた名工として知られています。
埋忠一門は刀剣や刀装具の製作にとどまらず、古名刀の磨上げや仕立て直し、金象嵌銘の施入、鎺などの金具製作、名刀の記録にも携わりました。彫刻や象嵌を巧みに用いた斬新で格調高い作風を確立し、後世の刀工や装剣金工に大きな影響を与えています。
埋忠重光は江戸中期の18世紀に京都西陣で活躍した埋忠派の金工で、「山城國西陣住埋忠重光」と銘し、鉄地へ雲、菊花、桐、楓などを肉彫と透かしで表し、金の細部を添えた作例が知られています。大振りの文様を明快に捉えながら、花弁や葉脈には繊細な鏨を用い、埋忠派の伝統的な鎚目地と装飾性を調和させるところに重光の持ち味があります。
菊は長寿、高潔、繁栄を象徴し、楓は秋の深まりと季節の移ろいを表すことから、両者を取り合わせた菊花楓図は錦秋の華やぎと吉祥の願いを一面へ託した格調高い画題です。丸く豊かに開く菊花と、鋭く伸びる楓葉では輪郭も葉脈も大きく異なるため、二つの植物を対角へ配することで、静かな均衡の中に心地よい変化が生まれます。
本品は四方に張りを持たせた木瓜形の鉄槌目地へ、表の右上に大きく開く菊花、左下に楓葉を配し、上方には菊花と雲の輪郭に沿うような小透を設け、鋤出彫による図柄を切羽台や耳へ滑らかに連結しています。菊花は広い花弁を放射状に開かせ、金色の花心を中心として堂々と表し、楓葉は細長く伸びる裂片と葉脈を金で際立たせることで、黒褐色の鉄地に錦秋の静かな輝きを添えています。
菊の花心と楓の葉脈には金を添え、深い黒褐色の地鉄へ秋の光を差すような気品あるアクセントを与えています。裏面では菊花の位置を左上へ移し、表と呼応させながら簡潔にまとめることで、鐔を返した際にも季節の景色が自然に続き、鎚目地の柔らかな起伏と木瓜形の量感がいっそう引き立ちます。
在銘の埋忠重光作として、江戸中期の制作年代、京都西陣に受け継がれた埋忠派の鉄味、地透と肉彫を一体化する構成力、金色を抑制して用いる雅趣を余すところなく味わえます。大振りで堂々とした形姿、季節と吉祥を兼ね備えた画題、作者と流派を明確に伝える銘振りがそろい、鑑賞性と資料性の双方に優れた、埋忠物を収集するうえでも見逃し難い一枚です。