藤に山葵図鐔 無銘 -Mumei- 12-1784
通常価格:¥77,000
税込
藤に山葵図鐔
無銘
-Mumei-
縦76.3ミリ 横73.0ミリ 切羽台厚4.1ミリ 重量130.0グラム
江戸前期~中期 The early to middle Edo period
附属 桐箱
藤は長く伸びる蔓と垂れ下がる花房から子孫繁栄や家運長久を象徴し、山葵は澄んだ水辺に根を張る常緑の植物として、丸く広がる葉が清らかな景趣を添えます。華やかな藤と素朴な山葵を取り合わせた意匠は、異なる植物の姿を一つの円内へまとめることで、蔓の流動感と丸葉の穏やかな量感を同時に味わわせる趣向豊かな画題です。
本品は丸形鉄地の表裏へ藤蔓の柔らかな流れと山葵の大きな丸葉を肉彫で配し、切羽台を囲むように葉を重ねながら、外周へ向かう曲線によって画面全体をゆるやかに巡らせています。表では上方と左右へ丸葉を広げ、裏では配置を変えながら同じ植物を連続させることで、鐔を返しても一つの水辺の景色が途切れない構成となっています。
葉の中央には金銀の露を一点ずつ置き、広い葉面に静かな光を宿らせるとともに、鉄一色の落ち着いた画面へ品のよいアクセントを加えており、正面だけでなく斜めから見たときにも豊かな陰影と手仕事の味わいが現れます。
肉厚な鉄地、輪郭を大きく捉えた古様な植物表現、金銀を点として用いる抑制された象嵌、華美な装飾を重ねるのではなく、鉄の量感と曲線の美しさによって季節の植物を表したところに本作の魅力があります。遠目には丸葉が作る大胆な図案、手元では露の輝きと耳の細工が静かに現れ、古鉄と植物意匠を好む方に長く味わっていただける、個性と温かみを備えた一枚です。