格子に朝顔図鐔 無銘 -Mumei- 12-1783
通常価格:¥66,000
税込
格子に朝顔図鐔
無銘
-Mumei-
縦88.13ミリ 横86.5ミリ 切羽台厚4.6ミリ 重量125.0グラム
江戸中期~後期 The middle to late Edo period
附属 桐箱
朝顔は夏の早朝に瑞々しい花を開き、朝露を受けながら垣や格子へ蔓を伸ばす姿が涼を呼ぶことから、江戸時代には園芸のみならず浮世絵、染織、陶磁器、刀装具へ盛んに取り上げられました。規則正しい格子の直線と、自在に巡る蔓、丸みある葉、漏斗状に開く花を組み合わせた意匠は、人工と自然、静と動を一つの画面へ調和させ、盛夏の朝の清々しさを伝える風雅な画題です。
本品は大振りの丸形鉄地を左右から格子状に大胆に透かし、その間を縫うように朝顔の蔓を巡らせ、上方と右側へ開く花、左下へ大きく広がる葉を巧みに配することで、幾何学的な格子と生命感ある植物の曲線を鮮やかに対照させています。表裏では格子と朝顔の位置が反転して見え、鐔を返すたび蔓が垣の向こう側まで伸びていくような奥行きが生まれます。
花弁や葉は地透によって輪郭を明快に浮かび上がらせ、蔓には素銅の色絵を細く沿わせて、黒褐色の地鉄に夏草の柔らかな動きを添えています。花の周囲に設けた細かな開口、葉脈を思わせる放射状の鉄骨、格子の太細を丁寧に変えた構成によって、広い透かしを備えながら画面には確かな密度があり、白い背景では端正な影絵、暗い背景では古鉄の輪郭と素銅の色調が際立ちます。
大径の堂々たる姿と開放感ある透かしを併せ持ち、規則的な格子を朝顔の花葉が軽やかに横切る意匠には、江戸中期から後期らしい図案性と洒脱な季節感がよく表れています。装飾を色金だけに頼らず、鉄骨と余白の響き合いによって夏景色を完成させているため、正面鑑賞はもちろん、明かりを通した展示や拵に合わせた際にも印象が大きく変化し、朝顔の風情と地透の妙を長く楽しめる魅力的な一枚です。