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月下旅人図鐔 無銘 -Mumei- 12-1781

通常価格:¥44,000 税込
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月下旅人図鐔
無銘
-Mumei-

縦84.1ミリ 横78.5ミリ 切羽台厚3.6ミリ 重量129.0グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱


月下旅人図は、夜道を行く人物を月明かりの中へ置き、広い闇と小さな人影との対照によって旅情や思索のひとときを表す画題であり、雲間からのぞく月、橋、流水といった景物を添えることで、一幅の絵画を思わせる物語性を生み出します。月光を強く照らし出すのではなく、暗い景色の中へわずかな光を置き、見る者の想像によって夜気や旅の行方を完成させる表現は、詩歌や文人趣味と結び付いた江戸金工ならではの風雅として親しまれました。

本品は四方に豊かなふくらみを持たせた大振りの木瓜形鉄地に両櫃孔を開け、表の右下へ杖を携えて橋を渡ろうとする旅人を小さく配し、その対角となる左上には雲間からわずかに顔を出す月を表しています。人物を中央へ置かず片隅に寄せ、画面の大半を夜空と静寂を示す余白として残した大胆な構成によって、杖を頼りに橋へ歩みを進める旅人の気配と、行く先をほのかに照らす月明かりが深い情趣を生み、簡潔な画面の中へ旅の一場面を印象深く浮かび上がらせています。

旅人の顔や衣服、手にした杖、足元の橋は鉄地へ溶け込むような肉彫と繊細な彫線で描き分け、月や雲、衣の要所へ金銀の色金を添えることで、深い黒褐色の地に夜の淡い光を点在させています。歳月を経た金銀の柔らかな輝きは古色と美しく調和し、見る角度や光の方向によって人物の姿や雲間の月が静かに浮かび上がるため、華美に頼ることなく、月夜特有の幽玄な空気と奥深い景色を味わわせます。

裏面は下方へ小さな岩と川のみを簡潔に描き、表から続く水辺の情景を静かに受け止めながら、旅人が橋を渡った先へなお川の流れが続いていくような余韻を残しています。表に人物、橋、雲、月を集め、裏では岩と流水だけに抑えた表裏の対照も巧みであり、鐔を返して鑑賞することで、月下の旅路が一つの連続した物語として展開していきます。

柔らかな起伏を備えた木瓜形の輪郭、広く取られた切羽台、左右で形を違えた櫃孔、鎚の跡が豊かな景色を生む地肌には手仕事ならではの温もりが宿り、薄手でありながら大振りの寸法と確かな重量を備えるため、手に取れば堂々たる存在感と古鉄の落ち着いた味わいを楽しめます。古様な茎孔、鎚味を残す鉄地、ゆったりとした木瓜形、古色へ深く馴染んだ金銀象嵌、余白を主役とする詩情豊かな構成から制作年代は江戸中期と鑑せられ、遠目には渋く端正な古鐔、手元では旅人の足取りや月光の気配まで想像させる風景金工として、幽玄な夜の風情と鑑賞するほど深まる魅力を備えた一枚です。
寸法縦84.1ミリ 横78.5ミリ 切羽台厚3.6ミリ
時代江戸中期 The middle Edo period
鑑定書
付属桐箱
重量重量129.0グラム

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