群鶴図鐔 無銘(水戸) -Mumei (Mito)- 12-1780
通常価格:¥220,000
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群鶴図鐔
無銘(水戸)
-Mumei (Mito)-
縦81.5ミリ 横76.6ミリ 切羽台厚3.8ミリ 重量144.0グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
水戸金工は江戸中期以降、水戸徳川家の城下を中心として発展し、鉄、赤銅、四分一などの地へ高彫や彫金を施し、金銀素銅の色金を取り合わせて人物、花鳥、風景を絵画的に表すことを得意としました。江戸後期には萩谷勝平、海野美盛をはじめ多くの名工を輩出し、写実を基礎とした精緻な彫りと華やかな色絵によって全国有数の装剣金工として隆盛しており、本作にも鉄地の広い余白を生かしながら花鳥の姿を鮮やかに浮かび上がらせる水戸金工らしい美意識が表れています。
鶴は古来、千年の齢を保つとされた瑞鳥で、長寿、吉祥、夫婦円満、家運隆盛を象徴し、群れで飛翔し水辺へ集う姿を描いた群鶴図には、同族の繁栄や睦まじい結び付きへの願いが込められています。空を舞う一羽と地上で憩う群れを組み合わせる構図は、天と地を一つの景色に結び、静かな水辺へ時間の流れと物語を生み出す格調高い花鳥画題です。
本作は穏やかな木瓜形の鉄地を広い空と水辺に見立て、表の上方には翼を広げて舞う一羽の鶴、下方には葦の生える水際へ集う四羽の鶴を配し、五羽それぞれの向きや姿勢を変えることで、飛翔から着地、歩み、憩いへと続く自然な動きを一面へ描き出しています。羽毛には銀色、嘴や脚、葦の葉には金色を用い、黒褐色に落ち着いた鉄地との鮮やかな対照によって、遠目にも鶴の姿が明瞭に浮かび上がり、近くでは羽根の重なりや細い脚、互いに呼応する首の動きまで味わえます。
笄櫃孔は赤銅で埋められ、その深い黒色が鉄地へ静かに馴染みながら画面右側の構成を引き締め、反対側の小柄櫃孔とともに余白の均衡を整えています。裏面は鶴を描かず、水辺を示す細い線と金色を下方へ配した簡潔な景色とし、華やかな表に対して静かな余韻を残しており、大振りで量感ある鉄地、抑制の利いた余白、金銀色絵による五羽の鶴が調和した、水戸金工の花鳥表現と吉祥性を存分に楽しめる格調高い作品です。