勝虫蝶図鐔 無銘 -Mumei- 12-1769
通常価格:¥38,500
税込
勝虫蝶図鐔
無銘
-Mumei-
縦83.9ミリ 横75.2ミリ 切羽台厚4.7ミリ 重量144.0グラム
江戸中期~後期 The middle to late Edo period
附属 桐箱
蜻蛉は前へ進みながら素早く飛び、退かない姿に重ねて「勝虫」と呼ばれ、武運と勝利を願う武家に好まれた代表的な文様であり、蝶は軽やかに舞う姿と美しい翅から優雅さや生命の移ろいを象徴する意匠として親しまれ、本品では勇壮な二匹の勝虫と一匹の蝶を同じ画面へ取り合わせることで、武家好みの力強さに柔和な華やぎを添えています。
上下左右へ柔らかく張り出す木瓜形の鉄地を舞台に、表の上方には左右から向かい合う二匹の勝虫を配し、下方には大きな翅の蝶を一匹ゆったりと描き、両櫃孔と切羽台を挟む広い地板へ三匹の虫を上下に振り分けることで、直線的な勝虫の翅と蝶の丸みある輪郭が互いを引き立て、静かな鉄面の中に空を舞う動きが広がる伸びやかな構成となっています。
勝虫の細長い翅、節を連ねた胴、蝶の大きな翅と柔らかく巻く触角は毛彫によって明快に描き、その彫線へ金色を施すことで黒褐色の鉄地から古金色の姿を浮かび上がらせ、角度を変えるたび線が現れては沈む、時代を経た作品ならではの味わい深い表情を生み出しています。
裏面は人物や虫を置かず、下方に風になびく草だけを金色で簡潔に表し、表の賑わいを受け止める静かな余韻を持たせており、大振りで量感ある鉄地、端正な木瓜形、素朴な槌目、古色に沈む金色を一枚の中で存分に楽しめるため、勝虫文の武張った魅力と蝶の優美さを併せて求める方へ勧めたい、親しみやすさと確かな存在感を備えた一枚です。