瑞雲文透鐔 無銘 -Auspicious cloud openwork tsuba- 12-1765
通常価格:¥99,000
税込
瑞雲文透鐔
無銘
-Auspicious cloud openwork tsuba-
縦81.5ミリ 横80.5ミリ 切羽台厚4.8ミリ 重量131.0グラム
江戸前期~中期 The early to middle Edo period
附属 桐箱
瑞雲は吉事の前兆として現れるめでたい雲を意味し、古くから神仏や龍の霊威、天上の気配を象徴する文様として絵画、染織、漆工、金工へ広く取り上げられ、刀装具では流動する雲脚を透かしの輪郭へ置き換えることで、鉄一色の画面にも空を巡る風と絶えず形を変える雲の動きを与えられる、意匠性に富んだ画題です。
丸形の鉄地いっぱいに大小の瑞雲を巡らせ、切羽台から耳へ伸びる太い鉄骨と大きく開いた地透によって、雲が重なりながら天空を旋回するような力強い構成を作り上げており、櫃孔は小柄櫃孔一つだけで、その孔を赤銅で端正に埋めることで黒褐色の地に静かな色調の変化を添えています。
雲の輪郭は細く均一に整えず、張りのある曲線、深く巻き込む雲頭、量感ある耳を一続きに彫り残し、地板と雲脚の各所へ金の布目象嵌を施しており、長い年月の使用によって金色が薄れた部分や途切れた部分も古金色の名残として地鉄へ自然に溶け込み、華美に傾かない落ち着いた風格を生み出しています。
表裏は同じ瑞雲の骨格を共有しながら、透かしの陰影と残存する金布目の見え方が角度ごとに変化し、明るい背景では大胆な雲形が明快な影となり、暗い背景では締まった鉄味の中から古い金色と赤銅埋めが控えめに浮かぶため、置く場所や光によって異なる表情を楽しめます。
大振りの地を支える太い鉄骨、大らかで丸みを帯びた雲脚、摩耗して鉄地へ馴染んだ金布目象嵌には後期の細密な装飾鐔とは異なる古格が認められ、吉祥性の高い瑞雲文、古鉄の力強さ、時代を重ねた金色の侘びを一枚で味わえる、展示にも拵にも堂々たる存在感を示す作品です。