扇透鐔 無銘 -Mumei- 12-1750
通常価格:¥25,300
税込
扇透鐔
無銘
-Mumei-
縦70.6ミリ 横70.6ミリ 切羽台厚4.9ミリ 重量110.0グラム
江戸前期 The early Edo period
附属 桐箱
扇は末広がりの形から繁栄と開運を表す吉祥意匠として尊ばれ、武家の調度や刀装具にも古くから取り上げられてきました。
本品は華美な象嵌や細密な彫刻に頼らず、鉄地そのものの量感と透かしが生む明暗だけで扇面を表現しており、整然と技巧を競う時代の作とは異なる、古鐔らしい素朴さと力強さを備えています。厚手の地板には三面の開いた扇を大胆に散らし、上方では二面を寄せ、下方には一面を置くことで、静かな円形の中へ心地よい動きを生み出しています。扇骨は細い鉄を途切れさせることなく残しながらも過度に神経質な印象がなく、広く残された地と大きな透かしの対比には、前期鐔ならではの伸びやかさが感じられます。左右対称にまとめず、扇の向きと間隔をわずかに変えた構成も巧みで、見る角度によって扇がふわりと舞い、重なり合うような奥行きを見せます。
耳は丸みを帯びて柔らかく締まり、肉置きのしっかりした鉄地と相まって、手に取れば見た目以上の重厚感が伝わります。表面に現れた細かな起伏や時代を経た鉄味も味わい深く、透かしの軽快さと古鉄の落ち着きが互いを引き立てています。末広がりのめでたい図柄でありながら甘さに流れず、拵に掛ければ凛とした存在感を示し、独立した鑑賞品としても古作の風格を存分に楽しめる、簡潔な意匠の内に滋味を秘めた魅力ある扇面透鐔です。