桐透鐔 越前住記内作 -Echizen ju Kinai- 12-1749
通常価格:¥33,000
税込
桐透鐔
越前住記内作
-Echizen ju Kinai
縦69.3ミリ 横66.2ミリ 切羽台厚5.2ミリ 重量83.2グラム
江戸中期~後期 The middle to late Edo period
附属 桐箱
越前記内は福井城下で代々続いた鐔工の名跡で、鉄地へ植物や龍などを大胆に表し、地透によって図柄と余白を一体化させる作風で広く親しまれました。その人気を背景として、江戸中期から後期には記内の代表的な意匠と銘を型に取り入れた鋳造鐔も数多く制作され、各地へ広く供給されています。こうした量産型の作品は、一品制作の精緻な鐔とは異なる成り立ちを持ちながら、当時の人々が記内意匠へ寄せた憧れと需要を今に伝える存在であり、江戸時代に刀装文化が広く浸透していたことを物語る興味深い資料でもあります。
本品は丸形の鉄地へ大きな桐葉と花房を配し、枝葉を耳へつないだ明快な地透の構成を鋳造によって整えた一枚で、太く安定した骨格と葉の輪郭が、小振りな姿の中にも確かな存在感を生み出しています。鋳上げた後には、葉の表面を走るように金の布目象嵌で唐草を加えており、黒褐色へ落ち着いた地色の中に残る細い金線が、桐の力強い造形へ軽やかな華やぎを添えています。量産を前提とした造りでありながら、この金布目象嵌は加飾工程として施されたもので、型による均整と手仕事の装飾を一度に味わえるところが本品の見どころです。
桐は鳳凰が宿る瑞木とされ、家紋や刀装具にも用いられてきた格調高い文様であり、本品では大きく開く葉と花房が透かしの明暗によってくっきりと浮かび、斜めから眺めれば厚みのある鉄骨と葉の起伏がさらに豊かな陰影を見せます。歳月を経た地肌と部分的に残る金線には均質な新品にはない味わいがあり、拵へ用いれば落ち着いた鉄色の中で唐草の金が控えめに映え、単独で飾れば記内意匠の大胆さを存分に楽しめます。江戸期の刀装文化を身近に感じられ、古い鋳造鐔と布目象嵌という二つの技法を手頃に味わえる、親しみやすさと時代の風格を備えた一枚です。