撫木瓜形阿弥陀鎚目地鐔 無銘 -Mumei- 12-1746
通常価格:¥33,000
税込
撫木瓜形阿弥陀鎚目地鐔
無銘
-Mumei-
縦85.8ミリ 横81.5ミリ 切羽台厚4.4ミリ 重量174.0グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
鎚目地の鐔は、鉄を打ち締めた痕跡をあえて地肌へ残し、文様や色金に頼ることなく、素材そのものと鍛造の手仕事を景色として見せるものです。なかでも切羽台を中心として阿弥陀光のように外方へ開く鎚目は、静かな鉄面に確かな方向性を与え、光の角度に応じて細かな線が浮沈することで、無文の地に豊かな動きと奥行きをもたらします。簡潔な意匠であるほど地鉄の質、輪郭の取り方、耳の仕立てがそのまま出来映えに現れるため、ごまかしの利かない鉄鐔ならではの魅力を存分に味わえます。
本品は、四方の張りと括れをごく穏やかに表した堂々たる撫木瓜形の鉄地へ、中心から耳に向かって阿弥陀状に伸びる鎚目を表裏に刻み、素朴な地肌の中へ力強い律動を生み出しています。中央の切羽台と両櫃孔は過度に整形し過ぎず、手仕事の温もりを残す周囲の鉄面とよくなじみ、張りのある耳が全体を引き締めることで、量感に富みながら鈍重さを感じさせない均衡のよい姿にまとめられています。黒褐色へ深く落ち着いた鉄肌には歳月を重ねた穏やかな艶があり、その上を走る鎚目が光を細かく散らすため、正面からは渋く静かな佇まいを、角度を変えれば力強く広がる鍛肌の表情を楽しめます。
特定の画題を置かない潔い構成は、拵に用いた際にも他の金具や柄巻の色を妨げず、落ち着いた鉄味が刀装全体へ自然に溶け込みながら、阿弥陀鎚目だけが控えめな個性を添えてくれます。単独で鑑賞すれば、離れて見たときの撫木瓜形の端正な輪郭と、手元へ寄せたときに現れる一筋ごとの鎚跡という二つの味わいがあり、華美な装飾とは異なる、鍛えられた鉄だけが持つ深い風格を堪能できます。大振りで量感ある古鐔を好む方はもちろん、鉄味と職人の手の動きをじっくり味わいたい方にも強くお薦めできる、簡素の中に見どころを凝縮した存在感豊かな一枚です。