網代文鐔 無銘 -Mumei- 12-1744
通常価格:¥38,500
税込
網代文鐔
無銘
-Mumei-
縦64.0ミリ 横56.3ミリ 切羽台厚4.9ミリ 重量89.0グラム
江戸中期~後期 The middle to late Edo period
附属 桐箱
網代文は、竹や檜皮などを斜めに組んで作る日本古来の編組文様です。生活道具や建築の意匠から生まれた機能的な形でありながら、規則正しく交差する線が端正な幾何学美をつくるため、調度、染織、漆芸、刀装具にも広く取り入れられました。反復する文様には破綻のない秩序と穏やかな動きがあり、派手な絵柄を用いずに地面全体を豊かに見せることができます。本作はその網代を小振りな鐔の全面へ密に刻み、日常の文様を重厚な鉄の鑑賞へ高めています。
縦64.0ミリ、横56.3ミリの締まった撫角形鉄地に、方向を交互に変えた編み目を表裏へ丁寧に巡らせ、中央の切羽台と両櫃孔の周囲は平らに残し、その外側へ網代地を充満させることで、構造が明瞭で安定した姿にまとめられています。厚さ4.9ミリ、重量89.0グラムと、小振りながら手に確かな重みがあり、丸みを帯びた耳が細かな地文をしっかり受け止め、黒褐色の古色は編み目の高低に濃淡をつくり、斜めからの光で織物のような立体感が現れます。
遠目には簡潔で渋い鉄鐔として映り、手元では無数の編み目と鏨のリズムをじっくり味わえる、二段階の楽しさを持つ一枚です。色金に頼らないため拵へ合わせやすく、小振りの脇指用としても、地文鐔の収集品としても魅力があります。網代文は季節や特定の故事に限定されない普遍的な意匠であり、長く手元に置いても飽きにくい点も長所です。鉄の色、厚み、規則文様の美しさを静かに楽しみたい方に勧めたい、実直で品のよい作品です。