雪中柳図鐔 無銘 -Mumei- 12-1742
通常価格:¥33,000
税込
雪中柳図鐔
無銘
-Mumei-
縦84.8ミリ 横78.8ミリ 切羽台厚3.3ミリ 重量150.3グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 桐箱
雪を戴く柳を主題として、冬景色の静寂を鐔面に映した風雅な一枚です。柳は通常、風にそよぐ柔らかな枝葉や春夏の瑞々しさを想起させる画題ですが、本作では枝に雪を積もらせることで、寒気に耐える姿と張りつめた季節の空気を表しています。しなやかな柳と、その枝を覆う雪の重みという対照が画面に独特の緊張感を生み、華やかな花木とは異なる奥深い詩情を感じさせます。広い鉄面を冬空や水辺の余白として生かすことで、雪の日の音が吸い込まれるような静けさまで伝わってきます。
縦85ミリ近い大振りな撫角形鉄地に、水辺へ垂れる柳を配し、その枝に降り積もった雪を白銀色の象嵌で表しています。黒褐色の鉄地を冬空に見立てたような深い地色に、雪の白さが鮮明に浮かび、枝葉の輪郭と重なりを印象深く見せ、下方には流れと岸辺の草を置き、金色・素銅色などの色金を控えめに交えることで、冷たい雪景の中へわずかな温かみを添えています。柳を右側へ寄せ、両櫃孔を挟んだ左側に広い余白を取る構成によって、景色の奥行きと冬の澄んだ空気が巧みに表現し、厚さ3.3ミリと薄手ながら重量150.3グラムを備え、地板には穏やかな起伏と歳月を経た鉄味がよく現れています。
最大の見どころは、古色を帯びた鉄地と、柳に積もる雪を示す白銀色との対照です。少し離れて眺めれば静謐な冬の水辺が一つの画面として立ち現れ、手元へ寄せれば、雪の積もり方、柳の細い線、流れや岸辺の草に施された繊細な仕事が次々と目に入ります。雪を単なる点景ではなく、画面全体の季節と空気を決定づける要素として用いたところに、本作ならではの魅力があり、大振りで堂々とした存在感を備えながら、意匠には余白と抑制があり、落ち着いた拵にもよく調和し、鉄鐔の渋い肌合いと、雪景を描く絵画的な情趣の双方を楽しみたい方へ、特にお薦めしたい一枚です。