葵図透鐔 越前住記内作 -Echizen ju Kinai saku- 12-1741
通常価格:¥88,000
税込
葵図透鐔
越前住記内作
-Echizen ju Kinai saku-
縦74.2ミリ 横71.8ミリ 切羽台厚5.6ミリ 重量106.3グラム
江戸中期~後期 The middle to late Edo period
附属 桐箱
越前記内は福井城下を代表する鐔工の家系で、高橋家が代々「記内」の名を継ぎ、江戸初期から幕末まで長く製作を続けました。初期には越前康継らの刀身彫刻にも関わったと伝えられ、そこで培われた力強い彫技は、やがて鉄地の肉彫地透を中心とする独自の鐔へ展開します。龍、草花、能面、器物など題材は幅広く、植物の輪郭を太く明快に捉え、地板と透かしを一体の造形としてまとめる点が記内鐔の大きな特色です。葵文は記内が繰り返し手がけた代表的意匠の一つで、本作にも名門の蓄積を感じさせる堂々とした構成が示されています。
丸形の鉄地いっぱいに二枚の葵葉を大きく配し、伸びやかな茎を耳へ連結して肉彫地透に仕立てています。葉脈は深浅を付けて丁寧に刻まれ、黒褐色の鉄地に残る金布目象嵌の蔦が、葉の起伏と流れをさりげなく引き立てます。両櫃孔は単なる開口部ではなく、葉と茎の曲線に包み込まれて図様の一部となり、切羽台を中心とした左右の均衡も良好です。厚さ5.6ミリの肉厚な地と丸みある耳が、透かしの軽快さを損なうことなく全体へ確かな強度と量感を与えています。
縦74.2ミリ、横71.8ミリという扱いやすい寸法の中に、記内らしい大胆さ、植物文の柔らかさ、鉄味の落ち着きが凝縮されています。正面からは葵の端正な輪郭が力強く映え、角度を変えれば肉彫の高低と透かしの陰影が次々に表情を変えます。越前記内の銘を備え、流派の典型的な魅力を素直に味わえるため、記内鐔を初めて求める方にも、意匠違いを集める愛好家にも勧めやすい一枚です。拵に合わせても鑑賞台に置いても、鉄一色を基調とした格調が長く飽きずに楽しめます。