富士見図鐔 無銘(水戸) -Mumei (Mito)- 12-1740
通常価格:¥275,000
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富士見図鐔
無銘(水戸)
-Mumei (Mito)-
縦53.9ミリ 横39.0ミリ 切羽台厚3.6ミリ 重量46.4グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
水戸金工は江戸時代中頃に興り、幕末にかけて大きく発展した装剣金工の一派です。鉄、赤銅、四分一など多様な地金を用い、人物、動植物、故事、風景を精巧な高彫と金銀の色絵で表すことを得意としました。本作にも、広い余白を残しながら小さな景物へ視線を導く洗練された構成、四分一の落ち着いた地色を生かす巧みな色金使い、人物の姿に物語を宿す水戸金工らしい感覚がよく表れています。無銘ながら水戸の作と認められており、富士という日本を象徴する主題、旅情豊かな画面、精緻な色絵を一度に味わえる魅力的な作品です。
本作は渋い鼠色を帯びる四分一地を静かな空と大地に見立て、表には雪を頂く富士、空を渡る雁の群れ、枝を伸ばす松、その下で笠を手に、右手を上げて富士を仰ぐ旅人を配し、縦53.9ミリ、横39.0ミリの小さな喰出形の中に、遠景から近景までが巧みに収められています。
銀色の雪を戴く富士と金色の雁は遠く高く、松と旅人は手前へ量感豊かに表され、彫りの高低と色金の違いだけで鮮やかな遠近が生まれています。旅人の笠、背負った荷、脚絆に至るまで細部は精緻で、富士を見上げる一瞬の仕草から、道中で思いがけず名峰に出会った感動まで伝わってくるようです。足元には流れと石を抑えた彫りで添え、裏面には旅人の去った後を思わせる松と水辺の景を残しています。表裏を返して眺めることで、一つの旅物語が静かに続いていく構成です。