網代文鐔 秀典 -Hidenori- 12-1739
通常価格:¥27,500
税込
網代文鐔
秀典
-Hidenori-
縦88.8ミリ 横81.5ミリ 切羽台厚3.65ミリ 重量149.5グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 桐箱
網代は、竹や檜皮などを組んで作る日本古来の編組文様です。日常の身近な素材から生まれた意匠でありながら、交差する線が端正な幾何学美をつくり出すことから、建築や調度、染織など幅広い分野で親しまれてきました。本品ではその日本的な文様を鐔の全面へ大胆に展開し、実用品から生まれた機能美を、重厚な鉄の造形として楽しませてくれます。
縦88.8ミリの堂々とした木瓜形に、竹材を斜めに編み上げた網代文を表裏いっぱいに巡らせた鐔です。上下左右へ張り出す木瓜形の輪郭と、間断なく続く編み目の反復がよく調和し、大ぶりな画面に整然としたリズムを生み出しています。両櫃孔を備えた実用的な構成で、丸みを持たせた耳が全体を引き締めています。表裏でよく揃った地文、鉄地に見られる細かな粒状感、切羽台や櫃孔際のやや丸みを帯びた仕上がりから、鍛鉄へ文様を一つずつ彫り起こした作ではなく、鋳造を基礎として形作られた鐔と考えられます。
鋳造の鐔は近代以降に限られたものではなく、江戸時代にも製作されていました。そのため、鋳造とみられることだけを理由に制作年代を新しく見る必要はありません。本品の木瓜形の姿、濃い黒褐色へ落ち着いた古色、両櫃孔を備えた構成などを総合すれば、江戸後期の作として捉えるのが妥当です。鋳肌を含んだ素朴な鉄味には独特の趣があり、肉厚に表された編み目は、光の角度によって細かな陰影を連続させ、落ち着きの中にも力強い表情を見せます。厚さを3.65ミリに抑えながら149.5グラムの量感があり、手に取れば大振りな古鐔らしい確かな存在感を味わえます。製法を正しく理解したうえで、網代文の反復美と木瓜形の端正な姿を楽しみたい方におすすめできる、個性豊かな一枚です。